綿の育て方2~開花以降

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開花までは「綿の育て方1~開花まで」をご覧ください。

栽培方法は人それぞれ、土地の環境、土の構造によって様々です。正解はわかりません。基本的には他の作物と同様にご自身で様子を観察しながら工夫して、少しずつでも年々栽培を続けられるよう、記録しています。 ちなみに日本では栽培自体が法律違反になっている綿の品種があります。

綿の開花

綿は基本的に自家受粉するといわれています。この雌しべ雄しべの形状からも、難しくはないと思います。

綿の花粉は比較的重く粘着性が高いそうで、花が触れ合うほど近くなければ、風による交雑の可能性は低いそうです。イネ科の花粉などと比べると確かにもったりした感じ。

私は開花するまでの過程で自家受粉するような構造になっているのではないかと考えています。マメ科の植物などのように。

花が開ききった頃に受粉も完了していれば、虫媒による交雑はほぼ心配いらないかと。

そもそも虫媒による交雑を防ぐのはかなり離れていないと難しく、隔離するなどという手段は現実的ではないので…。

50平米程度の私の畑では、畝ごとに品種を分けています。

和綿白、茶、和綿茶、緑…と、和綿同士、それ以外同士が隣り合わないように。

が、正直あまり交雑は気にしていません。交雑して新たな繊維の色、性質ができるのも楽しみです(翌年用、販売用の種の採種の際にはそれぞれ交雑のないと思われるものを選り分けています)。

綿の花の咲く向き

よく間違えている人がいるのですが、和綿は下向き、洋綿は上向き…といわれるのは、花ではなく実です。まあ実も必ずしもそうはならないのですが。

花は、多少下を向くものもありますが、せいぜい横向きくらいじゃないかな?

上向いてるのも結構あるし、木の健康状態・付け根の枝の強さなどにもよるのではないかと思います。

実が大きくなっていくにしたがって、その重みで和綿は下向き加減になりやすいということであって、花のうちから真下を向いているのは数少ないかと。

どこかで読んだり聞いたりした情報(この記事も!)を鵜呑みにせず、実際によく見て観察してみましょう。

結実

徐々に実は大きくなり、開花後約40~60日で実が開きます。気温や湿度などで開くまでの期間に差が出るようです。

当然、季節が進むにつれ遅くなる。また和綿より洋綿の方が、何事も時間がかかるようです。

七十二候の「綿柎開く」は、綿のガクが開いていく時期だということ。ガクが反り上がっていくことのようです。ガクが反り上がってから少しして実が開きだします。

虫2

開花から結実のこの時期、いわゆるハマキムシが増えてきます。

あまりひどいようなら巻かれた葉を開いて、虫や糞を落とし、葉はそのまま残しています。残った葉緑素で光合成できるように。

落ちたハマキムシを観察していると、蟻が連れて行きました。蟻は綿の木をのぼってきて捕獲してもいるようです。すごいね。

洋綿は実も喰われました。とりあえず引っ張り出して放置。喰われた室以外は実ってくれることを祈って。

木を中から食害する虫もいるようですが、細い木の多いウチではあまり見かけません。

バッタ類の食害も一部で目立ちはじめます。一気に草刈りをしてしまった後や、暑さが落ち着いてきた頃など、何かしらのタイミングがあるようですが、不明です。

しかし、この食害は長く広くは続かず、枯れてしまうほどにはなりません。これもほぼ放置。

前述の蟻や他の虫のためにも、全部の虫を駆除したりはしません。面倒くさいし(汗)。葉巻虫によって丸裸になる木もありますが、他のほとんどの木は無事だったりするので、綿の畑全体で確実に子孫を残すために、ヒトには判りにくいバランスの取り方をしているのかもしれませんね。

綿の実の落果

綿は幹から葉を出し、同じ付け根から枝を伸ばします。その枝先にまた葉をつけ、その付け根に蕾をつけます。枝はそのまま伸びてまた葉をつけ、蕾をつけることを繰り返します(小さい木の場合を除く)。

つまり、葉一つと蕾一つは最低限のセットなのだと思います。実の中である程度タネが熟すまで、対の葉からの養分が重要なのではないかと。ウリ科類や、綿と同じアオイ科のオクラと同じように。なので、葉を整理するにしても、残したい実があるならその対になる葉はできるだけ落とさないほうがよいかもしれません。

もちろん他のルートでも養分は供給されると思いますが、やはり枝に実がつきすぎている、対になる葉が小さすぎる、虫食いがある、日照量が少ないなどの場合、植物体自身が調節して、落果がおきやすいと考えられます。


そんな生理落果の様子。上の画像は8月上旬。左側の幹から伸びた一番下の枝。既に6個の実をつけ、更に幹側から4番目の実の脇と、枝先に葉と蕾(画像に写っていません)をつけました。既に膨らんだ実とこれから咲く蕾合わせて全部で8個。


8月中旬。4番目の実の脇の蕾と枝先の蕾は落ちてなくなり、6個残りました。この枝より上にも枝葉が伸びて、この一番下の枝葉は日当たりが悪くなってきています。


9月上旬。結局この枝は5つの実に落ち着いたようです。実の大きさなどから、もう落果はなさそう。葉が少し黄色がかってきています。

残念ながら、この観察を続けていた枝は、ある日、畑に行くと無くなっていて、どうやら泥棒にあったようです。鋭利な刃物で刈られた跡がありました。

たぶん枝先のほうの実はまだ熟してなくてキレイに開くことはなかったでしょう。でも盗んだものを家に飾って幸せを感じるんでしょうかね。。

綿の実が開く・開絮(かいじょ)

綿の実が開くことを開絮(かいじょ)というそうです。「弾ける」という言葉を使うから音がすると勘違いする人が増えるのかと思い、「開く」と書くようにしました。

綿の実は割れ目から少しずつ開いていくので、ポンなんて音がすることはありません^^

その年の天候にもよりますが、和綿は大体8月下旬から開きはじめます。完熟している実は、寒くなって霜が降りて木が枯れても畑で勝手に開いてくれます。

でも雨にあたらないよう、枯れ葉がつかないよう、開いたら早めに房だけを収穫しています(ディスプレイなどに使用する場合は、また別です)。

収穫時、立派で沢山実をつけている株の綿の実を来年用に選り分けています。

棉の実がはじけない、開かない時は、いつまで待つ?

待てるなら、春まで待ってみましょう^^

12月になって霜が降りても雪が降っても開かなかった実が、春2月3月頃、畑に行くとしっかり開いていることがあります。

私は春まで畑に木をそのまま残せますが、やはり長いこと畑で放置すると枯れ葉などで汚れるので、12月のうちに青い実のまま収穫し、屋内で開くのを待つこともあります。枯れた葉やガクが綿につかないように、持ち帰る前に落としておきましょう。

ただし、持ち帰って開くのを待つ綿の実のタネが熟しているかどうかはわかりません。未熟で、繊維も育ちきっていないこともあります。少なくとも来年用のタネにするのは慎重に選んだ方ががよさそうです。

でも、秋の収穫時に雨降りばかりの年、開きかけの実から発芽していたことがありました。結構いくつもの実で発芽していて、タネも綿も使えなくて残念でしたが、面白い発見でした。開きかけの実でも充分な発芽能力があったということです。

和綿でもそれ以外の綿でも同じように、綿の実がある程度完熟した状態であれば、枝ごと又は青い実を乾燥させて開くのを待てますが、未熟な実などは開かずじまいだったり、いびつな開き方だったりします。

完熟しているか未熟なのかの区別は、実の大きさや前述のガクの反り返り具合で判断できるのかなと思いますが、正直私にはよく判りません(汗)。外見で判断できる方がいらしたら、根拠と共に教えていただきたいです。

綿の実からタネをとる作業については「綿のタネをとる方法・手で取る手順と綿繰り器と」の記事、動画もご参考にどうぞ。

収穫後の保管

畑で収穫した綿の状態によって、数日間、広げて風に当てて乾燥させます。

装飾用などで殻をつけたままの場合は乾きにくいです。生乾きだと殻にカビがでるので、裏返してしっかり乾燥させます。

苞やガクのようなものは生乾きのうちに取り除くと綿の繊維に入り込むのを防げます。

しっかり乾燥できた実綿は、通気性を考えて主に紙袋で保管しています。

翌年播種用の実綿は、年内もしくはできるだけ早めに綿繰りをして、タネと繊維を分け、それぞれ保管しています。

タネは一般的な植物のタネ類の保管方法と同じ。

私は、発芽しない温度や湿度で保管すればよいだろうと考えて、紙袋や小さなビニールに入れて室温保存しています。

この保管方法で、これまで10年以上、特に問題なく発芽してくれています。発芽率は、2年目まではほぼ変わらないようです。

ちなみに外した繊維の保管はビニール袋。ただ、あまり強く圧縮はしないようにしています。繊維の撚りや筒が潰されたまま長くその状態に置かれていると、その形を戻すために、少し空気に触れさせる時間が必要になります。

とはいえ、ヒトの手でちょっと圧縮する程度なら大して問題はない、ビニールから空気も漏れるし。ただ輸入の綿などはかなり圧縮されているので、ふんわりさせるのには、機械製綿がどうしても必要なんだろうなと思います。

連作障害

いくつか見た文献には、毎年作り続けたほうがよくなると書いてあったり、一方では連作はよくないと書いてあったりしました(綿関係の参考文献の記事はこちら)。

綿を育てる以前から畑をやっていたし、10代から自然農・自然栽培に興味があったので、連作障害というものは知っていました。

同時に、自然農で連作障害が現れるのか?という疑問もありました。

単一作物のみを生やし、それ向けの施肥を行う慣行農とは違うのですから、土の状態も、その機能、影響も違うはずだと思っていました。

私の場合はどのみち、今の畑しか綿を栽培する場所が無いので、これからも栽培を続けていきます。現在10年以上連作が続いていますが、木がいまいち大きくならない場所があるのは、連作のためなのか、元々痩せた土地なのか不明です。

それでもここ数年は年々よくなってきていると感じていますが、天候の差もありますので、はっきりわかりません。今後も観察を続けます。

ちなみに、当初から綿は一畝二列、畝の中央では落花生やサツマイモ、葉野菜を栽培しています。草も生やし、伸びたら刈り、所により抜いて、土を覆います。

綿がなくなる晩秋から春の間は緑肥用ライ麦やオーツ麦を栽培。防風や虫の棲家、枯れた後も土の被覆といろいろ役立っています。

栽培地域

多くの文献に、綿栽培の北限は福島県、会津地方だと書いてありました。しかし現在はビニルハウスやビニルマルチを使用して、北海道でも栽培を楽しまれている方がいます。室内で冬越しをして二年目の収穫をされている方も。

我が家のベランダでは4年目の綿の木が実をつけています。とにかく綿の実がある程度完熟するまでいけば、枝ごと又は青い実を乾燥させて開くのを待てます。

農林水産省のページには、「ワタの発芽又は実生の生育には 15 ℃以上が必要で、 38 ℃以上になると生育が遅延することが知られています。品種にもよりますが、最適生育温度は昼温 25 ℃から 35 ℃の間で、25 ℃以下では生育量は著しく低下します。また、正常な生育には、霜の無い期間が 180~200日以上並びに 500 mm以上の降雨量が必要です」とありました。

主にこれは機械紡績に使えるアップランド種についての記述かと思われます。和綿の場合、5月播種で早ければ8月収穫、大体9月~10月が収穫最盛期です。播種から150~180日程度で収穫できています(関東平地)。

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