(私の栽培している綿についてのデータです。同品種でも栽培地・方法・年によって質の違いがあると思います)
タネの出所
島根県松江市の親戚から2007年に譲り受け、栽培を続けています(わたいとやの栽培方法はこちら)。
地理的にも、鳥取県境港で知られている伯州綿と思われますが、土質や栽培方法の違いのせいか、繊維の質は多少変化したように感じます。
和綿の実
ひとつの綿の実は3室から4室に分かれていて、一室に一房、一房に5~9つ程度のタネが含まれています。実の大きさ、繊維の量、質などは個体差がありますが、大きいもので一房約1.7~2.6g、内タネは約1.0~1.6g、繊維は約0.6~1.2g程度でした(2013収穫分)。繊維の長さは測るのが難しく正確ではないのですが、長いところで約15mm強~20mm。
縮れが強く、弾力のある繊維です。コシがあって繊維内の中空を保ちやすいので、ふんわり太目の糸を紡ぐのに向いているように思います。
和綿茶は、糸紡ぎの先生である綿工房さんから2008年頃に譲りうけたタネ。たぶん真岡産。綿工房さんは日下田氏のもとで修業されたのとのことで、そちらからかと。
房の数タネの数などは白と同じようです和綿の茶は繊維が短いとよく言われているのですが、実際、ウチの綿もやはり少し短いようです。といっても長いところで約15mm弱。本当に、気持ち、白より短いという感じです。
和綿茶の色の変化
紫外線、または酸化のためか、ぶらさがった実の外側の色が濃くなっているのを畑でよく見かけます。収穫時、薄い色に見えても、徐々に色は変化しているようです。
上の画像は2016年産の和綿の白・和綿の茶。下の画像右は2017年産の和綿の茶、左は2009~2010年産の和綿の茶(2018年1月撮影)。野外出店時などによくディスプレイしていた実です。
一方、和綿茶で紡いだ糸の巻物はそれほど変わらないのですが、タオルの方は使用と洗濯を繰り返すうちに、茶の色はだいぶ薄くりました。
畑の目印に使っていた茶綿も風雨に曝されると色が褪せていくので、濃くなり続けるというわけでも、色を保持し続けるわけでもないようです。
和綿茶の色の違いについては、こちらの記事もどうぞ。緑っぽい、カーキがかった茶の話。
和綿の成長の様子
この和綿は、白か茶か、発芽から成長中だと私には見分けがつきません(汗)。他の品種の和綿は判り易いものもあります(木の赤みが少ないものなど・後述)。
葉はモミジの葉に似た形で、和綿は五裂。本葉2、3枚目までは切れ込みのない楕円形の葉が出てきます。幹、枝、葉脈は赤みがかっていて、収穫が終わった後にこの木や根で染めることも可能なようです。
和綿の花
花はクリーム色で中央がえんじ色、花びらの先にほんのり赤みがさしているものもあります。花びらは5枚。ガクに見えるものは3枚、実は3室又は4室。どういう仕組みで室数が変わるのか、不思議です。
一日花なので、夕方にはピンク色に染まってしぼんでいきます(関連する実験記事)。
和綿の結実・収穫時の注意

花後の実は丸みのある三角錐、または四角錐。外皮は少しざらついているように見えます。
実が下向き加減になるのが和綿の特徴、雨の多い地域でタネが出来るだけ濡れないよう守る為なのだといわれています。
タネを包む繊維が中空で空気を含み乾きやすいのも、繊維の油分が多いのも、その為と考えられています。油分たっぷりな繊維で、下向き加減な性質を持った種が生き残ってきたのでしょう。日本の湿度の高い気候に耐える性質は、そこに暮らす際の衣服に使用する繊維として最適なのかもしれません。
実が開いて房がぶらさがるようになったら、汚れないうちに房を収穫します。ほうっておくと、白より茶のほうが、地面に落ちやすいです。
和綿の手紡ぎ糸

左から
和綿白(細め)
和綿白
和綿白と和綿茶
和綿茶
繊維が短いとはいえ、細めの糸も紡げないことはありません。
ただ、太めのふんわりした糸を紡ぐ方が、和綿のコシの強い繊維を活かせるのではないかと思います。