緑綿の色の変化

緑綿ばらえてぃ」の記事では、さまざまな実の色をご紹介しましたが、こちらは、その色の変化についての記事です。

日照か酸化か経年のためかは不明ですが、ただこういう現象があるということと、人の手で(酸とアルカリで)色を変化させることについてご紹介します。

左は2017年収穫の緑綿の実です。右は2009~2010年頃に収穫した実。

右は収穫後、井の頭公園の出店中や、他の野外イベントの際にもディスプレイしていました。

もちろん元々は緑の繊維の実でした。

左・2017年収穫 右・2010年前収穫

緑綿の色が褪せることについて説明するときに、畳や竹のような変化です、とお話ししています。

茶色になってしまう、と話される方もいらっしゃいますが、茶綿と紛らわしいですし、やはり私の目には茶とは違うように映ります。

これは余談でもありますが、色なんて元々個人個人の見方の違いもあって、それこそ「緑」といっても皆が同じ「緑」を思い浮かべるわけではありませんよね。

私としてはできるだけ一般的と思われる感覚で言葉を使っていくようしたいと思いますが、それでも緑綿をいまさら黄緑綿とかカーキ綿とかいうのもどうかと思いますし、これまでの慣習も考慮しつつ、私の独断と偏見も混じっていることはご理解のうえお読みくだされば幸いです。

上の二枚の巻物は2010年収穫の緑綿で2011年に製作したもの。当時撮影した画像です。右は出来がよくなくて畑用にしたマフラー。左は出店中よく着けていた格子柄。

色褪せが気になりにくいように考えて、白や茶を入れたり、緑自体にも白や茶を混ぜた糸を紡いで入れたんですね。
左が現在の二枚。右がアルカリ処理した後。重曹ではなく、よりアルカリ度の高い炭酸塩を使用しました。いつも大雑把なのですが、今回もバケツに大さじ1~2程度(汗)

二枚とも何度も洗濯しているし、アルカリ処理も数回しているし、年数も経っているので、もうあまり変化しないと予想しつつやってみました。左の格子はほとんど変化がわかりません。右は多少緑の色が濃くなったでしょうか…?

4枚目の画像はどちらも2017年収穫の緑綿で、綿繰り時に、実の内側の緑の濃い部分と外側の緑の薄いクリーム色部分をそれぞれ集めました。

もちろん、完全にきっちり分けられるわけもないので、やはり私の独断と偏見で、適当に。

それぞれの綿をカーディングせずに紡ぎました。

カードをかけると繊維が均されて色の濃淡がわかりにくくなります。今回は自然なままの変化をみるために、と思ってカードなしで太めに。

綿のままやってみようかとも思ったのですが、やっぱり扱いが面倒そうなので(汗)。

撚り止め後、綛にした状態。薄い色のほうはこの後の実験のため二分割。

撚り止めは水からゆでて約10~15分。お湯でゆでるだけでも色が鮮やかになる、という話も聞きますが、いかがでしょう?

個人的にはそれほど大きな変化はわかりません。でも飛び出していた繊維などが落ち着いてきて、光の反射が抑えられるなどのために、色が鮮やかに見えるということはあるかもと思いました。カードをかけていたらまた違うかも?

この後、薄い色の糸をアルカリ処理する予定でしたが、間違えて酸処理してしまいました(汗)。それが左。間違えたのは洗髪に使用しているクエン酸です。

気のせいか、濃いクリーム色に変化?濡れたからそう見えただけ?(汗)。でまあ、慌てて濯いで、炭酸塩小さじ1弱の溶液へ浸したのが右です。今度はちゃんと緑に変化。

上から元々緑の繊維、クリーム色の繊維のアルカリ処理後、クリーム色の繊維。

個人的にはアルカリ処理をする前とした後では、緑の色のトーンがなんとなく違う気がするので、「色を戻す」という表現は少し違うのかもしれません。

最後の画像の糸は5年ほど前、収穫後に紡いでそれぞれ処理したもの。

収穫当時からグレーがかった緑の綿だったので、若干普通の緑綿とは違いますが、参考に。

左から順に自然放置・重曹水処理・クエン酸処理・屋外放置一ヶ月。

この糸たちはスピニングパーティーなどで展示する以外は仕舞いこんでいます。そのせいかわかりませんが、今もこの処理をした約5年前とほぼ変わらぬ色をしています。