「リーチング(leaching)」を植物や葉などの言葉と一緒にググると、結果の多くは、葉面散布肥料の販売元。
中立な情報と思われるのは、PDFの論文らしき記事『雨と植物―リーチングを中心として―1978 木村和義(岡山大学農業生物研究所)』。
もうひとつは出版社のサイトなのでスポンサー関係が不明ですが、カルチベというサイトの記事は比較的偏りが無いように感じました(論文より読みやすいかと)。
後者のサイトで紹介されていた、前者の論文と同じ著者の『作物にとって雨とは何か―「濡れ』の生態学―』はこれから読む予定ですが、綿の葉のリーチングについて、今の段階で考えていることを覚え書きしておきます。
植物のリーチングとはカンタンにいうと…
現在一般的には「リーチング=雨などによる、葉からの養分の流出」という意味になっているようです。
前者の論文では土壌へ落ちた養分の再吸収についても少しだけ言及されていました。
が、葉面散布用品を紹介しているサイトでは、流亡するので肥料の葉面散布を、という説明のみで、再吸収については触れていませんでした。
藤井平司氏の『図説 野菜の生育』では、広い意味でのリーチング「溶解―濾過(ろか)―吸収」を植物の自給体制として述べられています(詳細は同書P98-99,P116-126参照)。
綿の葉の形とリーチングの関係
さて、リーチングの定義についてはひとまずおいておいて。たとえ最終的に土から再吸収されるかもしれないにしても、やはりあまり流出が続いたり、し過ぎたりはよろしくない、というのはどの文献にも書かれていました。
それで、綿の葉の形の違いが、リーチングと関係しているのではないかと思ったのです。
いわゆる和綿・アジア綿は、主なそれ以外の綿の葉と比べて、切れ込みが深いです。
先端も尖っていて、葉脈の谷も深め。
つまり、葉の表面に水を溜め込みにくく、早く流れ落ちやすい形。
対して、和綿でない綿の葉は、切れ込みがそれほど深くないので、和綿よりも水切れはよくなさそうです。
よく言われる和綿・アジア綿が日本に適していると言われる理由に、綿の実のつく向きがあります。
でも、この葉の形も、雨の多い地域に適した形だという理由になるかもしれない、と思うに至りました。
リーチングについても植物についても…判っていないことの方が多い
そう考えると、生育初期の綿の葉がカエデ葉ではなく、丸みのある葉であることも、リーチング的な意味があるのかも?とか。
水分に見舞われる機会といえば、雨や霧ばかりでなく、朝露・夜露もあります。
外気の水分による露だけでなく、植物自体が余計な水分その他を排出することもあるようです。
その露もリーチングと関りがありそうとか。
それから、夜になると葉が傾く就眠運動も、何か関係があるのではないかと思えます。夜露を根元近くに素早く落とすため、とか。うーん、想像がふくらみます!

でも、こういう研究って進まないんでしょうね。環境や個体差とかもあって難しいという理由もあるけど、もし植物が自分で水分も肥料も調整しているかもしれない、なんてことになったら…まあ、そういうこともあるかもしれません…。