綿の木の様々な部位が色づく様子を動画にして投稿しました。
通常の意味の「紅葉」から花の色変化の実験まで、内容がばらばらに感じられるかもしれませんが(汗)、「赤みがかる」繋がりでまとめた感じ。
…あんまり興味のある人はいないかな、マニアック過ぎるかなと思いつつ、以下動画の補足です。
赤い木と緑の木という分類
動画でご紹介した「赤木」「緑木」については、たしか、古い文献『綿圃要務』などにも記載があったように記憶しています。
数年前には鴨川和綿農園の小冊子でも見かけました。
どちらも「緑」ではなくて、「青」でしたが。
日本で栽培が広まった4~5百年前の頃から、すでに赤く見せるアントシアニンが出やすい品種、出にくい品種があったということなのでしょうか。
和綿以外の綿でも、赤味の強い品種があります。私が栽培しているものでは、緑綿と敦煌の白。
緑綿は赤木と緑木を分けて栽培しています。リンクの記事をご覧いただくと判るように、木も花の色も違います。
緑綿の緑木と赤木の繊維の違いはビミョーで、そもそも色も繊維質も不安定なので、どちらも様々似ているモノもあれば違いのハッキリしているものもあり。
敦煌の白は、2019年のスピニングパーティの際に譲られたタネです。翌2020年は播き忘れて、2021年に初めて栽培。栽培歴が2年目と短いのでまだ観察中です。緑綿よりも濃い暗い赤い実が印象的。
秋の紅葉としては、緑綿などの赤木はそもそも葉脈などに赤みのある葉に、そのまま赤い面積が増えていくような。
洋綿の緑木は赤と黄色が混ざってる感じ。
今年は、和綿はどちらも黄色くなってきてるけど、まだまだ緑。
赤木と緑木があるからだからどうなんだ、と言われるかもしれませんが(汗)。ウチの自然農畑では、和綿の緑木は育ちにくいです。大島もシソの緑も。木はそれなりに育つけど、実の立派なものができにくい。小さかったり未熟だったり。もう5年以上になるけど、どちらもやはり今年もイマイチです。
つまり、その環境に合う合わないがあるのではないかと。赤木の和綿が育ちにくい畑では、諦めずに緑木を試してみるといいかもしれませんし、その逆もまた然りかと。推測ですけど。
もちろんその地方(あるいは似た気候の土地)に受け継がれてきた品種であることも、育ちやすさに関係しているのでしょうけど、どちらにしろ、やはり環境に適応していくまで2~3年はタネの採種と播種のサイクルを続けてみたほうがよいと思います。
赤くなってしぼむ花
日本植物生理学会のQ&Aで「ワタ アントシアニン」で検索して出てくる情報から考えると、綿の花が赤くしぼむのは、花びらの老化+日照という条件が揃ってこそ起きる現象のようです。
花びらの老化は、受精が完了し、不要になった花を落とすために起こるのだとか。
ワタは基本的に自家受粉で、開花したらほぼ確実に受精するなら、「老化」の方も確実。
というか、ずっと咲き続ける花は無いし、老化は受精未授精に関係なく起きるよね??(汗)
つまり、花が赤くなるための条件は、充分な日照があったかどうか、と推測できるわけで。
動画内で紹介・過去記事にもある実験でも、そのように考えられるわけです。
でももし「基本自家受粉」という前提が間違っていたら、また違う推測が出きるかもしれません。
あらたな疑問…だらだらした話
基本自家受粉は間違いないと思いますが…でもそれなら、なぜあんな目立つ花が必要なんでしょうね…稲類や豆類のように目立たない花でもよさそうだけど??
基本自家受粉で遺伝的安定を選ぶけど、時々は他家受粉もして、一定の多様性を保つためとか??
数年同じ畑で同じ種を継いで栽培していると、徐々に実が小さくなるなどの話を聞きます。
土による連作障害も考えられるけど、自家受粉が続くことによる行き詰まりのせいという考え方もあるのかも…と思っていました(だからこそ大きい実を求めるならタネの選抜が大事かと)。
でもこのQAの回答を見るとそうでもなさそうだなぁと思えてきます…
自家受粉が最適、もしくはベストではないにしろベターだから、自家受粉で生き続けてきたともいえるのかな??
まあワタは紀元前から人の手で選抜・交配が続けられてきた栽培植物なのでしょうから、ある程度、自然な流れに思えない部分があってもおかしくないような気もします。
綿の繊維の色の日照による変化
これについては調べきれてないので、自分で気づいて確認できていることだけメモしておきます。
茶綿の茶は日照によって濃くなる、と言われていますが、確かに私の栽培している茶綿は皆その傾向があります。
それが、本当に日照によるものなのか、アントシアニンによるものなのかは不明。
ただ、洗濯や使用を繰り返していると、普通に茶の色は薄くなっていきました。
緑綿の緑は日照によって薄くなる。
これも明らかにそうなんですけど、日照だけが原因なのか、酸化など他の要素もあるのかはワカリマセン。