製作記録一覧

原始機・腰機の動画を作るまで

いわゆる原始機・腰機を、そのへんにあるモノ・手に入りやすいモノで作る動画を投稿しました。動画でもお話している通り、つまみ食いの材料とし、ご自身で消化していただければ。

この記事では、この動画を作るまでに、私がこれまでつまみ食いしてきた材料で思い出せるものを残しておきます。

身近で安価な材料でいわゆる原始機(弥生機)・腰機を作る方法&織り方のご紹介 糸を無駄にせず使いきれる四方耳織りで!【音声あり】
セリアの組立ラックの紙筒も棒に使えるかも

私が初めて「原始機」という言葉に触れたのは、糸紡ぎを初めて綿工房さんに習った頃2008~2009年。

紡いだ糸で編物しようと考えていたけど、同時期に、友人に誘われて清瀬市郷土博物館で裂き織りを体験したら、…あ、織物も面白いな、と。

ただ、織物は高価な道具を購入しないと難しそう…と思っていた貧乏な私が、ネットでいろいろ調べたなかで、これならできるかも…と思える情報を見つけました。

所々幅に差ができてしまったのは緯糸の太さ等が違うせいかも…

引越してしまったようで、当時のページは見つかりませんでしたが、多分ココ。

現在も体験会などは開催しているようですので、興味があってお近くの方は調べてみてください!

 石川県埋蔵文化財センターは、県内の歴史と文化を伝える埋蔵文化財を発掘調査し、出土品の整理をするとともに、それらを活用しながら、学校教育と生涯学習の場として広く県民が気軽に郷土の歴史を学ぶことができる開放型の施設です。  文化財に対する関心と理解を深めるための施設見学や、古代の人々の生活や技術を楽しく体験する中で先人の...

そうして手作りできる機があることを知り、でもそのページの内容だけで作るのは難しそうだったので、読んだ本がこの2冊(リンクはアフィリエイトです)。

当時はまだYouTubeもメジャーではなく(今は沢山あるので検索してみてください)、これらの本を参考にしたり、自分でいろいろ工夫したりしながら作り続けました。

しばらくして、やってみたいという方にも方法をお伝えしたり、構造を理解しやすいように作ったキットを販売したり。

(過去の記事はタグ「原始機」でご覧になれます。以前方法をお伝えした方々も動画を見てアップデートしてくれてると嬉しい^^)

画質も作品自体もUPには耐えられぬ…(汗)

リジット機を入手してからは、自分ではあまり作らなくなったけど、更にその後、手元にきた地機の仕組み等をスムーズに理解できたのは、原始機に触れていたおかげだと思います。

まあそんな流れで、UPには耐えられない(けど失敗ではない…)モノを作る過程を繰り返しつつ、先日の原始機で四方耳織りを教えてもらう記事に繋がったわけです。

…が、振り返ってみると、もう一つ、数年前にも、原始機の講座と言えるものに参加していたことを思い出しました。

原始機・腰機の経験者、又は多少でも織物について知識のある方向けの内容です。といいつつ、私自身もさほど詳しいわけではないので、難しい...

確か手織工房SOXさんによる、外部での講座だったと記憶しています。

過去記事はあったけど、全然詳しく残してなくて詳細は忘れました(汗)

サイトを拝見すると、引き続きご自身の工房で講座や、道具の販売もされています。

参加したのは先週の話。WS中にはひと模様も終わらなかったけど。配布された模様の図案をやっと全部試し終わり。ところどころ間違ってるけど(汗)。...

たしかWSでは専用に作られた道具をお借りしましたが、さすがに使いやすかった覚えがあります。

今日明日のスピニングパーティーにも出店されているので、興味・関心のある方お近くの方はぜひ調べてみてください。

とてもステキなイベントなので、存続のためにも行ける方はぜひどうぞ!

そんなわけで、他にもいろんな人の話を聞いたり見たりして消化してきた結果か、今回の原始機織りは筬無しでもそれなりに織れたかと思います。が、やはり筬はある方が楽は楽だなとも…。

更に動画制作というアウトプットをしたこともあり、綾も綜絖も筬も、スバラシイ発明だと再認識できました。

とりあえず今ある筬は大事にします。。

経糸も緯糸も有り合わせの手紡ぎ双糸を使用

動画制作の過程で、図解がたまったので、これを利用して小冊子にまとめる予定です。

余談

織り自体より動画制作に結構時間がかかりました。しかも投稿を無事に終えて、概要欄を埋めて、ふうっと疲れたけど、公開後にいつもの動画より早く再生回数が増えていくのを見て、やはり嬉しいモノだなぁ…と思ったのもつかの間。翌日今度はブログの管理画面に入れなくなり。

ブログ記事の表示はされるけど、カテゴリーやタグなど多くの機能が使えなくなっていて、せっかくまとめていた情報が、このタイミングで…。YouTubeから新規で訪れてくれる人が増えていたであろうに、もー、と。

業者さんに依頼して復旧できましたが、バックアップデータが前々日だったため、この記事の下書きは消えました。あらたに思い出しつつ書き直しましたが、何か書き洩らしている気がするので(汗)、思い出したらまた追記していきます。


地機布15のおまけ

2種類の経糸密度で織った地機布15でしたが、ついでにというか、せっかくなので、もう1種類、密度を高くしたものをやることにしました。

前回20本/1cm と 22本/1cm だったので、今回は24本/1cm。

織り終わってから、なんだかんだで2週間以上経ってしまったので(汗)、ざっと振り返りと、まとめなど記録しておきます。 ...

筬に通して全体を眺めてみると、この糸の細さにはこのくらいの密度が相応といえるくらいではある。

けど、機巻きなどをしていると、やっぱりこれは織ってる最中切れやすいだろうなと思えて(汗)

案の定、前回の筬密度の時より経糸は切れました。

Spreading warp threads 20220507 経糸を広げる

まあ全部自分で使う裏地や内ポケット用なので、気にせず適当に処理して織り進み。

残り経糸40cm弱になった頃、経糸が2~3本たて続けに切れたけど、これまで織った長さで満足、もういいやと思えたので、無視してしばらくそのまま織り続け。

その後、更に数本切れたところで止めました。

ということで、やはり24本/1cm筬で長く織るのは私にはキビシイので、地機布16は22本/1cm筬で織ります。

それに合わせて経糸を紡ぐ。まだ経糸全部の必要量のちょうど半分ぐらいしか紡いでいないので、残りは少し太めに撚り強めに紡いでいくつもり。

丸羽(経糸2本ずつ)で、これまでの細めの糸と交互に入るように並べたらちょうどいいのではないかと。

糸綜絖に毛羽がたまって引っ掛かる

ちなみに今回は機から降ろす前に緯糸留めできた。

いつも忘れてしまって、切り離した後から縫い留めることになり、何となくやりにくさを感じていたので(汗)

極めて雑なブランケットステッチですが…(汗)
最終的に残った経糸・縫い糸として使う予定

地機布15 織り終わり&糊落とし後

織り終わってから、なんだかんだで2週間以上経ってしまったので(汗)、ざっと振り返りと、まとめなど記録しておきます。

ちょっと長いです。

今回の整経方法についての動画を投稿しました。 ブログでは使用した道具についてなど残しておきます。 あと、後日追記す...

筬通し

Sleying the reed – through dents in the bamboo reed 20220314 筬通し
明るい場所でやると間違えにくい(基本)

一つの竹羽間に2本の経糸を入れるので、整経時の輪のまま(綾に近い側が全て輪になるように整経)入れました。

筬に糸を通す際の専用の道具・竹とか金属の筬通しを持っていないので、今回の様に手で通すか、無理ならかぎ針の極細サイズを使います。

機巻き

筬の向こう側でその輪に棒を通して、襖で動かないように固定。

筬で経糸の巾を広げ、真っすぐ糸を張りつつ、筬と綾棒をずらしていく。

全ての糸が真っすぐ張れたら、糸を引っ張り合い、整経長の微妙なズレを隣同士で調整…したかったんです。

整経長が短い故に出来る方法かなと。

右)元々筬通しした綾があった側

が、ちょっと別の手間を惜しんでしまい、左側は完全な輪にできなかったので、それはかなわず…整経の微妙なずれを含んだまま、できるだけ張りつつ巻くことに。

糸綜絖づくり

糸綜絖の作り方…織物の経糸を交互にまとめて吊り上げられる仕組みを、糸と棒で作る方法のひとつ(始めのみ音あり)Making string heddle with thread and rod

地機布14の時も一部シーンを動画投稿したんですが、今回は作業の解説つき。

詳細は動画をご覧いただくとして…地機は腰で糸を張るので、角度かえての撮影とか結構タイヘン。

こんな思いをしてやってるけど、ホントに少しでも誰かの必要を満たしているのかなー、と時々悩んでしまうこともあります。

コメントはGoogleアカウントが残るけど、評価はどなたがつけたか特定できませんので、どうかお気軽にポチっとお願いいたしますm(_ _)m 高評価でも低評価でも、とにかく何かしら反応いただけると嬉しいです。 

綾返し

これも一人撮影が難しい作業。正面からだと判りにくいし、といって側面からばかりでもね。

撮影のために何回も繰り返すのもそれこそなんだし、そもそもやってる作業自体は大したことではない(汗)。

ので、記録用のチャンネルにのみ動画を残しました。自分の見返し用。

Moving cross after finishing the thread heddles 20220320 糸綜絖の完成後。綾をこす(移動させる・綾返し)
腰側)筬・綾・糸綜絖→腰側)筬・糸綜絖・綾

織り始めを少なくする為に

結局織り始めの調整は5cmくらい?

少し前にご縁のできた方に感化されて、三方耳にしたかったので、整経時の輪を残したんだけど。

やはりちょっと整経時のズレというか、全体的に若干斜になっていて、巻いた側でも解消できず。

これを耳にしても歪んだ布になるなぁ…と思いつつ、とりあえず輪に細い竹ひごを差し入れて、筬と幅を合わせて、腰側の棒に固定。

数cm織って調整しようと思ったけど、調整用の糸の選択を間違えた感じ(汗)。

きれいな耳にはできなかったけど、斜はまあまあ解消できたし、織り始めの糸は少なく済んだからよし。

織り終わって竹ひごを引き抜いて洗濯後

筬変更

そもそもの試織の目的は、筬密度で悩んでいた為。なので、前半約1mを折り終わったところで、筬を変更。

10羽/1cm筬から11羽/1cm筬へ。

経糸を切って、新たな筬に通し直しつつ機結び。できた輪に腰側の棒を通して固定して織り再開。

Change the reed from 20/1cm to 22/1cm 20220402 筬差し替え

織れない部分を少なくするために地機から一部外す

織り終りが近くなってきたので、地機の開口用の棒を外して代わりに△厚紙を入れました。原始機風。

たぶん約15cmほど長めに織れたかと。

織れずに残った経糸は約30cm。ほとんどは輪になっているので、約60cmが400本くらい。縫い糸としても、機結びしても再利用しやすいはず。

織り終わり&糊落とし

織り終わって長さや幅などを記録してから、酵素による糊落としをしてまた計測。

更に数日後もう一度洗濯ネットに入れて濯ぎ・脱水・乾燥。更に数日後に同じ工程を繰り返し。

結局、糊落としを含めて3回水に通して乾燥という工程を繰り返しました。

残った経糸と糊落とし前の織り布

比較と振り返りとこの後

このお手製定規枠が少し曲がっていたり、そもそも定規マステも正確でなかったりするし、アイロンもかけていないので、この画像はまあ何となく参考程度に(汗)

20本/1cm筬
  • 筬に通した糸の巾 約42cm
  • 3回濯ぎ後の巾 約36cm
  • 縮率(ヨコ) 14%
  • 縮率(タテ) 2%
22本/1cm筬
  • 筬に通した糸の巾 約37cm
  • 3回濯ぎ後の巾 約32.5cm
  • 縮率(ヨコ) 12%
  • 縮率(タテ) 6%

タテの方、長さの縮率は、織り上がった後と濯ぎ後の数字で計算したものです。

20本/1cmは経糸密度が低すぎたな、と。そのせいもあって巾がかなり縮んだのかな、と。あまり密にすると経糸ガンガン切れそうで、ついつい筬密度広めを選びがちなんだな、と。

でも今回思ったよりは切れなかったので、試しに地機布7で使った12/1cmの筬に残った経糸を入れてみました。

ただ触り心地はやっぱり10/1cm筬の方が薄く感じられる。この布の目的の用途である裏地とか内ポケットには、こっちの薄さが向いてそうです。

経糸密度上げるなら、緯糸をかなり細くするか。あとはやっぱり緯糸の打ち込み加減の調整かな。

…こっちのほうがいいかも?

そんな感じで、次どうするか、地機布16はどうなるか…結局また悩み中です。


地機布15 整経とその動画

今回の整経方法についての動画を投稿しました。

ブログでは使用した道具についてなど残しておきます。

あと、後日追記するかも。

経糸の整経・織物の経糸(たていと)を準備する「整経(せいけい)」の方法のひとつ。本格的な道具を使わず、約2mの手紡ぎ綿糸を複数本まとめて整経する

整経台の代用

  • 綿の細めの手紡ぎ糸(約40番手)
  • 整経長は短め(約200cm)
  • 整経巾は狭め?(約40cm)

地機布15の試織はこのような条件だったので、整経台を使わずに、以前綿つむぎの会で使用していた百均の皿立て(グラス立て)を使いました。

この道具を使う場合の注意点としては…

  • 糸が引っかからないように、全体をやすり掛け
  • 杭の本数は少なくて済むよう設置(杭は傾くので多いほど不揃いになる)
  • 杭が傾きにくい穴と杭の組み合わせを選ぶ

既成の整経台は当然しっかりした造りのものが多いと思いますが、杭の位置などの可動範囲は、皿立ての方が上といえるかもしれません…あと値段(汗)

糸枠や大管などの代用

糸枠や大管を使用するのが一般的

できるだけ道具を増やしたくないので、貧乏くさいですが、厚紙を芯にしています。

ハリのある厚紙がおススメ。

動画内でも言ってる通り、厚紙の元の平面に戻ろうとする力のおかげで、糸が張られて丸々抜けにくくなります。

お役立ちサイト

今回の動画を編集するにあたり、改めていろいろ検索してみました。

その中で特に詳しかったり判りやすかったりしたサイトをご紹介。

特にHARUさんのHPは以前から参考にさせていただいてます。

あと、2本指綾取りの整経動画も発見。伝統工芸士さんのチャンネル。

整経(せいけい) Warping / 伝統工芸士リョウマ japanese traditional craftsman RYOMA

この布は地機布15の試織としていましたが、どうせ織るなら何かしら使える大きさにしたいと欲張ってしまい、約2mの整経になりました。

もうこれを地機布15にして、本番の方を地機布16にしてしまおうかと考え中。。

それから、日々の作業の動画投稿は新たなチャンネルに移行させました。

無編集の単なる記録動画ですが、ご興味のある方はどうぞご覧ください。

This is a subchannel of Wataitoya. A day work log. Wataitoya's main channel → わたいとやチャンネルのサブチャンネルです。 日々の作業記録、メインチャンネル用動画の素材置き場のような感じになるかと思います。 もしメインチャンネルをご覧いただ...

記録動画は特に手間がかかってるわけではないから軽い気持ちでできるんだけど。本チャンネルの編集してる解説動画は…整経の続きの動画も投稿予定ではあるのですが…何のためにやっているのだろうと少し落ち込み中…。視聴数も評価数もあまり動きがないなら…と。

何かしら反応ないとYouTubeも優先表示してくれないし、何より私のやる気が起きない(汗)ので、気が向いたら高評価でも低評価でもポチっとお願いします。


地機布14でズボン&手紡ぎ手織り手縫いズボンの比較

地機布14で作ったズボン、今年の冬の部屋着として大変重宝しています。暖かい布を目指して紡いで織っただけある。

朝、穿く時も、ジーパンなどでよくあるヒヤッと感は全くありません。

でも予想通り、毛羽立ちはしています。

股下部に、というより、全体的になので、やはり撚り弱めふんわり紡いだ糸の特性なのかなと思います。

以前、全体が毛羽立ちだらけのショールを優雅に纏っている女性に話を聞いたことがあります。できた毛羽が模様のようで面白かったから、自分でも付け加えたと言っていて、ステキだなと思いました。

ただ、乾燥して敏感になっている肌があると、毛羽立ちはやっぱり痒い(汗)。天然素材でもなんでも、敏感肌な部分は、物理的に何かしら接触があれば刺激を感じる。

毛羽立ちの多い手紡ぎ糸の布より、つるつるした絹やレーヨンの布の方が、敏感になっている肌には刺激は少なくて済む…多少マシ??かなとも思います。

今年の冬はこのズボンと地機布5のズボンを部屋着として、1週間交代で着用・洗濯。

左)地機布5  右)地機布14

地機布5の時の糸は、太め細め混合で、撚りは普通~強め。作った頃の画像はこちら

現在生地は全体的にクタっとしています。膝も出るが、洗濯すると目立たなくなる。

このクタっと感は、洗濯・着用を繰り返すなかで、繊維が少しずつ減っているのだと思います。既製のタオルやシャツと一緒。

毛玉や毛羽立ちはほぼ無し。擦れる内股部分も。紡いだ糸が少し撚り強めの糸だったためと思います。

経糸は細い糸太い糸混ぜこぜですが、緯糸はほぼ一定で少し細め。

手縫い部分のほつれ補修は何度もしていますが、生地自体の破損はありません。

同じ手紡ぎ糸を使って手で縫ったので、力がかかった時に縫い糸が切れることで布への負担が減らせているのかも。

地機布5は特にまだまだいろいろ未熟な感じだけど、作ってから8年、イベント出店や畑、部屋着としても充分着られた。

更に2年くらい、10年ももてば大満足。

これから作るものは、予想寿命の頃までウン十年もつ程度の丈夫さで、かつ柔らかで着心地のいいものを目指そうかな。