イベント一覧

原始機の勉強-筬無しで経糸緯糸を揃える(+追記あり)

原始機・腰機の経験者、又は多少でも織物について知識のある方向けの内容です。といいつつ、私自身もさほど詳しいわけではないので、難しい内容ではないと思いますが、織りの用語などの説明は省略しています(ちょっと長いです)。

以前、綿つむぎの会で、原始機の作り方・織り方をお伝えした方々、もし見ていらしたら、参考にしていただければ幸いです。

四方耳織(+)

数か月前、ある方がとても嬉しいメールをくださいました。有難くて嬉しすぎて、文面にあった興味を引く言葉とお名前でGoogle検索してしまいました。

その方は原始機で四方耳織をしている鈴木かつ子さん(氏名等掲載許可受諾済)。

四方耳織りについては、数年前に綿工房さんのWSで聞いたことがありました。

すごくカンタンにいうと、整経時、織り始め織り終わり共に、輪になるようにして。

織り始めの端(輪)まで緯糸を入れ、織り終り側と位置を逆転して、同じように緯糸を入れ、その間を埋めていくことで、四方を耳にしていく織り方だそうです。

原始機による四方耳織作品 by 鈴木かつ子さん

経糸の無駄を減らせるし、耳が多いのはいいなと思ったけど、最後の隙間を、経糸を交互に拾いつつ埋める作業は、根気の無い私にはムリ(汗)ということで、地機布15でも三方耳に挑戦しただけでした。

【追記・鈴木さんの現在の四方耳織りは、輪で整経した経糸を切らないで原始機に組み立て、その輪の始めから終わりまで1本の緯糸を通すというやり方。鈴木さんが織ったものに添える栞には、「‥‥糸という線が布という面へと切れ目なくつながって、まるで陰陽の気が流れ始める‥‥」と書かれていて、この最後の緯糸を通し終わった時、それを実感できるのだそう。両端から寄せて途中で緯糸を出合わせるより、片側の仮織りを少しずつ解きながら、隙間を作りながら織っていく、少し楽なやり方なのです、とのことでした】

が、メールをいただいた後、検索した鈴木さんの作品を拝見していて、あることに気づきました。

(リンクは張りませんので、画像検索を。作品やイベント中の画像などあり)

筬の無い織り

原始機やベルト織り・カード織りのような、筬の無い織りの場合、表に現れるのは経糸だけで、緯糸はほとんど織地に出てこない織り方がされることが多いなと思っていましたが、鈴木さんの原始機作品はそうではありませんでした。

カード織 by wataitoya…あまり良い見本では…(汗)

いわゆる畳織りのように経糸が隠れて緯糸がメインになったりもしていないし、経糸が中央に寄ってしまったりもしていない。

鈴木さんの原始機作品は、筬がなくても経糸緯糸がそれなりにバランスよく表面に現れていました。

耳もキレイで、中央と耳側で経糸の密度もほぼ同じに見えます。

by wataitoya 筬が無いと両端と中央で密度が不揃いに

何かコツがあるのでしょうか、教えていただくことは可能でしょうかと、図々しくもお願いしましたら、聞き入れてくださいました。

経糸緯糸の密度をできるだけ均すポイント(+)

前置きが長くなりましたが、7月の初めにお宅に伺って実際に整経からある程度織り続けるところまで拝見しました。

以下が、教えていただいた点、気づいた点。

  1. 整経時、両端(耳左右)の2本(輪の1本)はキツメ
  2. 織り始め織り終りの輪を通す紐はよく張って、中央を広め、耳側を狭めに配置
  3. 整経時キツメにした耳二本も改めてキツメに調整
  4. 筒状の棒と釘で巾だしとする(伸子)
  5. 約5cm織るごとにの織り進み分を測る。斜めになっていないかチェック
  6. もちろん糸選びと密度も大事

たぶんまだまだいろいろあると思いますが、今の時点の備忘録としてこのくらいです。

【追記・整経本数は1往復分多くなり(輪にする為)、織り巾の枠外に配置】

この後まだ自分で実際に織れていませんが、上記のポイントに気をつけながら織ってみて初めて気づくこともあると思いますので、追記していきます。

筒と釘を使った伸子(幅出し)

原始機で伸縮性のある織り作品

ご自宅で見せていただいた鈴木さんの作品はどれもステキだったのですが、なかでも興味を惹かれたのがこれ。経糸が強撚の糸のようで、経糸方向にとてもよく伸縮します。

伸縮性があって服にも使いやすそうで、こんな布が織れたら…と思いますが、強撚糸で織りって大変そうなので、いつかね、いつか…。

久々の遠出、しかも帰路の電車を間違えたこともあり(汗)、そこそこ疲れましたが、見聞きしたことはとても勉強になったので、これから自分で試すのが楽しみです。

鈴木さんはじめ、お世話になった教室の皆様、ありがとうございました!

原始機で織ることは自分自身のアップデートかもしれない

最後に、織り方のコツやテクニックではないのですが、もうひとつ、鈴木さんの原始機の織りを見ていて感じたことなど。

緯糸1本1本の扱いがとても丁寧で、その割に慣れた動作ですいすい織っているようにも見え。

経糸の位置・隙間を決める(中央は広め・耳側は狭め)

ゆっくりでいい、急ぐ必要はないというようなこともおっしゃっていたのを耳にして、あ、そうだなぁと思いました。より早く・沢山作るための効率を求めて、時代が進むにつれ様々な道具が出来てきたんだろうけど、それらが無ければこれが当たり前なんだ、と。

道具が無くてもできるようになるなら、これも見方よってはアップデートかも。

ウチには地機も竹筬もあるけど、自分の寿命に向けて、大きな道具は徐々に処分して、最小限の小さな道具だけ残すつもりでいるので、その時何ができるか、今から考えたりしている。

筬を手放したら、経糸と緯糸が同等に現れて服地にも使いやすい平織は難しいかな…織物は限られたものだけになって、編物メインになるかな…と予想していた。

でも、今回のことで、こんな風にゆっくり織物も続けられそうだなぁと。

経糸を広げつつ緯糸を入れ押さえる(完成品は1枚目の画像)

世間はいろいろあるけど、できれば常に、自分にとって新しい楽しみを持ちながら生きられるといいなぁと思いました。最後はとりとめのない話で終わりです。お疲れ様でした!


「草木糸縄みちくさ庵」展に行ってきました

草でモノづくりをしているあまよかしむさんの展示。パート仕事の帰りに寄り道してきました!

けっこう前から楽しみにしていたので、開催してくれてうれしい~。

…のですが、そのけっこう前の時点で考えていた、この展示を見るのに着ていく服を、地機布14で作る計画は当然、無理でした(汗)

着いたのは、17時くらいでしょうか、ちょうどひと段落ついた頃だったようで、ゆっくりじっくり見られました。

見るだけでなくて、もちろん触ってもOKなので、それぞれの植物のかたさ、柔らかさ、弾力、ガシガシ、もふもふ、ふわふわも感じられます。

か細い糸や、ぽろぽろ落ちそうなものはちょっと注意して触らないといけないけど。

犬毛のフェルトにトゲトゲをつけた人形もすごかった!でもイタイらしい(汗)。

3枚目の画像は、からむしその他の植物素材の糸。

とても細いのもあって、それをゆる~く編んでいて、どれも美しい!

久しぶりにあまよかしむさんのお話も聞けたし、綿の標本を入れている竹皮の箱(画像のある記事はこちら)も買えたし、それだけでも私にとってはハレのイベントでした。


中本扶佐子さんの布

綿を紡いで布を織っている中本扶佐子さんのブログ。数年前秩父での展示会情報を発見し、その時は結局行けずじまい。でもずっとチェックはしてました。

が、今回のお知らせは同じく中本さんをチェックしていて、以前展示会に行ったことのある友人から教えてもらって同行!

友人の所には、小さな布(1枚目の画像・左と上の糸は私が解いた(汗))による展示会の案内が送られてきたそう。経緯ともゼンマイ混の糸。これを見せてもらって、今回こそはと、暑い中、表参道の人混みの中、行ってまいりました。でも行ってよかった!

手紡ぎ手織りならではのゆらぎのある、とても美しい布、丁寧に作られた布がたくさん見られました。触ることもでき、撮影とブログ投稿も許可いただきました。

1枚目の画像の右側にある細い糸は300番手とのこと。インドの方の手紡ぎ。2枚目の画像右の布です。左は同じくインドの手紡ぎ糸100番手の布。どちらも本当に美しい布でした。

他にもたくさん、絣の布や、水玉模様にも見えるような素敵な布があり、ほとんどの布は1m~販売されていました。

そうそう、ハギレのゼンマイ混糸が結構濃い色に感じていたので、割合を尋ねたら綿7:ゼンマイ3とのこと。

少なくはないけど、それほどでもない、、ゼンマイの産地が違うせいではないか、とのことでした。濃かったのは高知のゼンマイだそうです。

いろいろお話聞かせていただきましたが、細い手紡ぎ糸の織のこととか、ゼンマイの混ぜ方についてとかも聞きたかったと後から…。

ネット上に日程などの情報がないので、友人の所に届いた案内画像を載せておきます。ご興味のある方はぜひ。


スピパ終了

今年もご来場有難うございました!おかげさまで小冊子も予想よりご購入いただき、嬉しい限り。ですが、感想が気になる…お時間ありましたら、ご意見などお待ちしておりますm(_ _)m

緑綿の起源について何人かの方から質問がありましたが、このような記事が見つかりました。以前は無かったと思うので、ここ数年でできたページなのかな。

綿工房さんとの話では、記事の地に限らず、茶綿の変種としてあちこちで多少はあったのではないか…ということに。

<追記 Natural Green Cotton Fiber などで検索すると日本語のページより多くの情報が出てくるので、どうぞご参考に。そのうち別記事にしたい…>

さて来年の出店はどうなるか判りません。わたいとやと名乗って約10年、いろいろ思うところもあり。でも、スピパは一年に一度の発表、再会の機会でもあり、前向きに検討したいと思ってはいます。

そして今年の収穫がはじまるので、昨年分の在庫の棉や綿をCreemaで特売予定。ご興味のある方はチェックしてくださいね。<在庫処分特別価格にて販売開始しております>


スピパ搬入

スピパ搬入終了して帰宅してから思い出した殻付き棉の存在(汗)。2018年産実綿と一緒に販売します。殻付のままがよければそのまま計量。10g 300円/ 20g 500円。

例年通り、実棉もタネも昨年収穫分。Creemaより値下げして販売。

今年は緑綿が結構残ってるので、実棉と種取済み綿も半額ぐらい、多分おまけも多めかも?灰色がかった緑綿などもお選びいただけます。

緑綿は既に少し色褪せてきてるけど、糸にして湯で撚り止めしたり、アルカリ水に浸水したりすると緑色が戻ります。

残念ながら、種取済み綿はやはりポリ袋入り。ちゃんと処分されますように。また、ブースは広くないので譲り合ってご覧くださいね。あと差し入れお断りもお忘れなくm(_ _)m

共同出店の綿工房さんのスピンドルで綿を紡ぐWSについては綿工房さんのブログへどうぞ!お会計は別です。わたいとやは基本現金のみですが、PayPalやジャパンネット送金は対応可能なハズ(汗)。ご相談ください。

スピニングパーティーの入場パスなどの注意点は公式サイトをご覧ください。では、明日明後日、お待ちしております!