綿のタネ播き時期真っ只中ですが、成長後の支柱と土と根について、思うところを記録しておきます。
土の状態についての仮説も入るので、逆にもう少し早く、種まき時期の前に書いたほうがよかったかなと思いつつ…
支柱を立てる予定の方にはまだ間に合うか?何かしら参考になれば幸いです!
支柱不要
ウチの綿畑では支柱を使っていません。周囲になにもない台地のような場所で、風は強め、乾燥がちな土ですが、最初期から使わないと決めていました。メンドクサイので💦
強風や実の重みで傾いてきた木に、添えるように刺すことはありますが、それも100本以上あるなかの数本です。
それら添え木が必要になる木も、年々少なくなってきています。
その理由と考えられるのは、主に以下2点。
- 草を残す不耕起の土
- 支柱が必要にならないような調整
ちなみに傾いた木は、まず根元周りの動いてしまった土を戻すように踏み固めます。
幹が傾くのは幹とつながる根が動いてしまっているから。浮いて動いてしまった土や根を、自然に元に戻るように、根と土がシッカリ密着するように。
これで大体落ち着きますが、それでもだめな時は、根に当たらない角度で、支えるように斜に棒を刺します(前画像&後述)。
不耕起―耕さない土
まず、土の状態は固いとか柔らかいとか、一言では表現できませんし、実際に触ってみなければ伝わらないことも多いのですが、その前提で、言葉で表現してみます。
綿畑は借り始めた約14年前に一度耕したというかスコップで中途半端に💦起こしてから、耕していません。
始めた頃はカチカチで固かった場所も、今は比較的柔らかめ。
どのくらいの柔らかさかというと、大きいスコップを刺しこめば、30~40cmはカンタンに入るくらいです。
逆に、その先を掘るのはまだタイヘン。
表層30~40cmは、この10年以上の間、抜かない根や積まれた雑草を虫や微生物などが分解することでできた土だと思います。
土の中で起きたこと…根があった場所は空洞になり…この辺の詳細は自然農の本等をご参照ください💦
でも本当は何が起きているのか、土の中では観察もできず、実際には判りません。
しかし見える部分でいえば、昨年(収穫量は別にして)それなりの高さに育ったわりに傾く木が少なく、添木もほぼ不要でした。
それは台風が少なかっただけでなく、今の土の状態とウチの綿の根が、バランスのよい状態だったのかなとも思います。
主に草の堆積でできてきたウチの畑の土は、表面近くは柔らかめで、深くなるにつれ固めなのではないかと予想します。
その部分まで根が伸びて、錨の様に、固めの土にしっかり食い込めれば、支柱が無くても倒れにくいのかもしれません。
つまり支柱が無くてもしっかり直立しているためには、土が柔らかすぎるだけでもよくないのではないかと。今のうちの綿畑の土は、綿の生育初期には根を伸ばしやすい柔らかめの表層・中期に固めの深層に届くという、綿が支柱無しでいられるためにはちょうどよい状態なのかもしれません。
更にウチの綿畑では草も残しています。風に吹かれて綿の幹が揺れても、周囲の草やそれらの根があるおかげで、根元の土が多少は動きにくいのではないかとも思います。
木の大きさ・形・重み
支柱を立てずに済ませるには、土の状態以外にも、まず綿の木自体を大きくしすぎないこと。この方が手軽です。
樹形を摘芯や剪定で、バランスよく倒れにくい形を保つように調整します。
四方に伸びる自然な樹形、いわゆる円錐型? とにかく全体にバランスよく。
更に、ひと枝にいくつの実まで、一本の木に何本の枝まで…など、その木の状態に合わせて調整していくと、細い木にたくさんの実が付き過ぎて倒れやすくなる、ということは少なくなるのではないでしょうか。
これは私も(貧乏性)できないのですが…ついた実を間引く…ですね💦
でも今年はちょっとやってみようかと。人工的な摘果を。私の場合は、倒伏対策ではなく、量より質を期待して、ですが。
柔軟な和綿の木
これも仮説ですが、和綿の木と和綿でない、いわゆる洋綿の木を比べると、和綿の方がたわみやすい、しなやかなのではないかと。
以前の記事にも書いたのですが、和綿の実が下を向くのは、綿実の重みを受けて、実の付け根の枝のしなる性質のためだろうということです。
この性質は木自体、幹や枝などにもあるのではないかと。だとしたら、本来比較的、強風にも耐えやすいはずなのですが、それも育て方次第かもしれない、というのが、次の項。
昔の文献にある和綿栽培法
江戸時代の農業書『綿圃要務』からのお話です。
今回あらためて検索したら、よく参考にさせていただいている木綿庵さんのサイトに『綿圃要務』の現代語訳付きPDFへのリンクがありました(リンク先ページの少し下)。
以前もどこかで読んだのですが、忘れているので💦、このかなり詳しく当時の栽培方法が書かれている文献が現代語訳付きで見られるのは大変ありがたいですm(_ _)m
『綿圃要務』(栽培編)にある綿摘みの挿絵では、木の高さは膝上~腰程度。
密植にみえるけど「5尺に10本」とある。一畝2条の約1.5m? だとすると、約30cm間隔? 1本からの収穫は10個だって…。
そうすると、もともと和綿は、大きくしすぎたり、一本からたくさん収穫を求めるものではないのかも。
でも、ウチの畑では無施肥でも結構大きくなる木もあって、小さく密植を目指したりもしたけど、なかなか難しいです。『綿圃要務』では肥料やってるみたいなんだけど、挿絵はあの小ささ…?今の和綿の大きさは『綿圃要務』時代から品種選抜が進んだ結果なのかな??
支柱を立てるなら
支柱が必要になるくらい大きく育てたい場合は、支柱は最初から、播種時又は双葉時期からあった方がよいかと思います。
根を傷つけないためです。
綿の木のすぐ隣に真っすぐ立てるタイプの支柱なら、種まき時期に立ててしまうのが安心かと。
角度をかえて斜に立てるなら、ある程度成長した後でも大丈夫です。が、まぁ実際わたしは後者の方法しかやったことがないので💦 あまり参考にならないかもしれません。
耕す方法も、ビニールマルチをはる方法も、生育が早まるかもしれないけど、根は弱くなるかもしれません。雑草管理は楽でしょうが、土は痩せるかもしれません。
播種のタイミングと一緒で、栽培方法も一長一短、いろいろあります。
できれば耕した畝と耕さない畝など、同時期にいろんな栽培方法を比較してみて、自分に、土地に、栽培したい綿に合う栽培方法が選べるといいのではないかと思います。
比較実験をされている方がいらしたら、ぜひ拝見したいので、もし共有されている情報などがありましたら、お知らせください^^