以前投稿した『錘で撚り止め動画』を観て、勘違いされた方がいたら申し訳ない。
綿の繊維は温度で形状を変えない(焦げない限り?)ので、「お湯で煮る→撚りが止まる」わけではありません。
むしろ重要なのは以前の動画にない、干す時、水分が抜ける間の形状。
つまり「干すまでが撚り止め」というのが今回の動画です。
でもまあ実際お湯で煮たら干すのが普通なので、「煮て撚り止め」で通じるのですが…。
追記 2022/2/11 ついでに同時にやってしまう人はいるけど…厳密にいうと「精練」は綿の油落とし(綿の場合)。「撚り止め」とは目的が違います。混同されているのをよく見かけますので、念の為。私は手紡ぎ綿の精練は不要と考えています。
撚り止めの温度・時間
「沸騰まで」「沸騰して何分」といろいろ言われたり書かれたりしていますが、その根拠について述べられていることは少ないです。
私の考えでは、水分が綿の繊維の油分を通過して、全体にしみ込むまでの温度・時間は最低限必要。
それはつまり綿の繊維の質や、糸の太さ・量によって異なるわけです。
長時間やっても特に問題はないかもしれませんが、私はあまり綿の天然の油を落としたくないので、繊維に浸水したのに気づいたら、すぐ火は止めてしまいます。ガス代節約。
(もしかしたら低温の水でも、アルカリ度が高いと油を通過(?)してすぐに水分を吸うかも??)
それと綛をねじってツイストドーナツ状にしたまま撚り止めしている方もいらっしゃいますが、繊維に水分がしみこむ時間が余計にかかります。できれば綛は輪の状態で撚り止めがベストかと。乱れるのが心配なら、きつくせず、軽く綛ごと撚るなどしておくとよいかと思います。
錘のまま撚り止めすることもありますが、あれはそれなりにメリットがあります。綛あげや糸繰はかなりの手間で、それら省略できるため。
少しガス代はかかるし錘の内と外で繊維の状態に差はできるかもしれないけど、それらを天秤にかけて、錘のままの撚り止めを選ぶこともあります。
乾燥する時の重し
重しをして干せばある程度撚り縮みは伸びるけど、あんまり重すぎると糸のふんわり感が損なわれるかも?
撚りが甘くてあまり捩れないなら重し自体いらないかも。
私は以前は、干す前にグッと引き伸ばしてから、綛の輪を開いて干していました(画像参照)
重石は撚りの強さによって変える。どんな糸が欲しいのかによっても。でも基本的には捩れない程度の適度な重さでよいのではないかと思います。
先人の言われたやり方をそのまま踏襲するだけではなく、自分でもなぜそうするのか、なぜそうなるのか考える。一つの方法に固執せず、ケースバイケースで応用するには、その作業の意味を知ることが大事です。
スネイル問題
撚り止めとは関係ないのですが(重しのせいでもない)。
チャルカではまずできないけど、足踏み紡ぎ車だと時々この捩れが残ってしまいます。これができてしまう原因については長くなるので、またそのうち(細めの糸の時だけ。私だけかもしれないし、綿つむぎだけかもしれない…)。
チャルカでもスピンドルでも撚り加減のバラつきはできるけど、それらに比べて足踏み式の紡ぎ車はどうしても撚り加減にばらつきが出やすいと思います。
まあそれも手紡ぎ故だし、綿だけなのか私だけなのか判りませんが、以前より随分減ったので、あまり気にしてません。
ただ、綛上げの時に伸ばすようにしてても、細い糸だと見逃してしまうことも。
スネイル自体はそこだけ濡らして伸ばしておけば解消できるけど、その結果、綛から飛び出したり弛んだりして扱いやすい綛とは言えません。
糊付けの時も気をつけないと。後々の作業にどんどん影響してしまうので、できるだけ響かないようにしておきたいんですけどねー。
ひびろ糸
今回のひびろ糸は地機布13の経糸で、結び方も変えてみました。
今までは単なる綾にしていた中央の部分、ほぼズレませんでした。
手紡ぎの糸だから摩擦のせいかもしれないけど、いつも手紡ぎの糸だし…しばらくこの結び方で様子見。