綛上げ一覧

綛上げについての動画・道具

綛上げについての動画を投稿しました。

以前投稿した糊付け動画でもちらっとお話していたのですが、より詳細な動画にしました。

会計事務所の請負仕事や動画編集アプリと格闘しながら、結構苦労して作ったので、いつもよりちょっと感慨深いです…

綿の手紡ぎ糸の綛あげと撚り止め―綛あげ器の紹介・手振りの方法・撚り止めと干し方など(音声有)

綛上げについては過去のブログ記事でも、少し詳しく書いたものがあるので、そちらもぜひご覧ください(タグ「綛上げ」もあり)。

今回の記事は、前回の記事に無い内容、動画でお話しできなかったことをメインに書いていきます。

8月中旬に素手で生葉染めをしてしまい、染まっていた爪もほとんど目立たなくなったので、ようやく綿の簡易糸紡ぎキット向け動画を作り始め...

綛あげに必要な道具

…とはいえ、綛上げには特定の道具が必要なわけではありません。

体を使って綛上げすることも可能です。下記リンクの中ほどの画像のように手と肘を使って。

私はホントに少量の糸の時しかやらない💦やはり糸量が多いと、分けてやるなど工夫が必要かも。

Transform a weekend at home into a mini creative escape with this simple yet satisfying decorative DIY—the perfect activity for a cozy staycation.

あとシンプルな道具としてはニディノディ(niddy noddy)ですが、こちらは私はほとんど使ったことがありません。時々少量の糸を扱う場合にはよい道具なのかもしれませんが、ワカリマセン。

綛あげ器と綛くり器…?

私は4~5年前までは、母の持っていた「綛くり器」で綛上げしていました。

ただ、綛を振る巾が狭いこと、沢山の糸を巻いていくと歪みやすいことが気になっていて。

いろいろ探して結局2019年にアシュフォードの「綛とり機」を購入。

悩んでいた経糸、やっと整経準備を開始。まずはかせの状態から、私は糸玉に。本格的なやり方だと、木枠や大管に巻いたりする段階でしょうか。私が使っ...

この道具名、厳密に分かれているのか不明ですので、以下私の理解ですが…

綛くり器…主に、綛→糸玉・糸枠・管

  • 枠の大きさ変更がある程度可能(一定の範囲内の大きさなら使用できる)
  • 遊びがある。枠の素材は強くない(細い竹や糸のモノもある)

これらの特徴も、そのモノによりますが…

同じような用途の道具には、ワイヤー風の折り畳みのものから木製素材のモノもあるし、名前も、「御光台」とか「ふわり」とかいろいろあってややこしいですね…💦

手織りの道具屋「稲垣機料」です。手織機から大小様々な手織道具【整経台,管巻,座車,御光台,綿繰,金筬,綜絖,杼,絣の道具など】を販売しています。

ちなみに、糸などを手元に引く、まとめる、または素材などを手で操作して何か別の状態に変えることを昔から「繰る(くる)」というようです。綿繰りや座繰りもそんな言葉なのではないかと思います。

綛あげ器…主に、糸玉あるいはツムなどに巻かれた糸→綛

「綛とり機」は同義と思われ。

  • 枠は大体一定のことが多い。昔からの規格のような?
  • 枠の素材が丈夫

画像などで造りをご覧になると判ると思いますが、がっしりしてます。

やはり糸量が多いとか、綛を作っている時に歪んでは困る時用、とでもいいましょうか…。

まだ設計もほとんどしていない状態だけど、たぶん使うであろう、沢山余っている茶綿を紡いでいます。 画像は部屋の段差を利用して綛上げしているとこ...

綛あげ器の選び方…?

どちらも「主に」と書いたけど、正直、どちらの道具でも、どちらの用途にも使える気がする…💦

綛くり器で綛あげは、糸の触れる部分が細い竹や糸のモノは微妙かもしれないけど、まあ、できないことはない。

私も今のモノを買うまでは母のお古の綛くり器一つですべてやってきました。

ただ、今のアシュフォードを使ってみるとやはり安定感がある。ある程度の糸量扱うには専門の道具に優るものなし…かな?

まあ安いものでも小さいものでもないし、用途によってもよく検討をとしか言えませんね^^;

現在アシュフォードの綛とりは私が購入した時より倍の価格になってました💦

当時この価格だったら、藤倉さんの水振り&カウンター付とかなり悩んだろうな…。

栃木県足利市の紡織機具販売「藤倉紡織機具店」です。紡織に必要な、整経、管巻き、揚げ枠(かせ揚)、座繰り、糸引き車、わたくりの取扱商品を掲載しております。

カウンター

後付けのカウンターは磁石。詳しくは当時のブログ記事をご覧いただければと思います。

その後、少し改良して、磁石を増やしています。確実にカウントできるように、距離を狭めました。

私の綛上げ器、カウンターがないので、綛に巻いた後、地道に数えていました。 どこまで数えたか判らなくなるし、眠くなるし…で...

綛なの?枷なの?上げ?揚げ?

綛を枷と書かれているのを時々見かけますが、何となく足枷を連想してしまって好きではありません。

やっぱり糸へんでしょってことで綛を使っています。どちらが正しいかはワカリマセン。

上げと揚げもどっちなんでしょうね…

あと「器」と「機」の違いについてはこちらの記事で既に書いているので💦

綿繰りの疲れにくい使用方法についての動画を投稿しました→こちら。 youtube投稿を始めた頃から撮りたかった動画の一つで、...

動画の綛あげ方法の特徴・おさらい

動画でご紹介した特徴をあらためて。

この辺りは前の記事でも書いていますし、今回の動画でもお話していますが、この方法は糸量が多めだったり、染め、糊付けなどの工程を控えている場合に有効です。

多くなければ箱でも家具でも何でもOK!もちろん手と肘でもね。


以上、綛あげについては、こちらの講座や教室で教えていただいたことをベースに、自分で試行錯誤しています。

今回の記事で疑問に上げたことなどお分かりになる方は是非、コメントなどで教えてください。もちろんその他の話題でも^^

コメントのつけ方はFAQ→このブログについてをどうぞ!

次はようやく地機布16の糊付けです!!

経糸ようやく紡ぎ終わりそう…💦


綿の手紡ぎ糸の撚り止め方法とその仕組み~最小限の手間で効果を上げる方法を考える

以前投稿した『錘で撚り止め動画』を観て、勘違いされた方がいたら申し訳ない。

綿の繊維は温度で形状を変えない(焦げない限り?)ので、「お湯で煮る→撚りが止まる」わけではありません。

むしろ重要なのは以前の動画にない、干す時、水分が抜ける間の形状。

綿の手紡ぎ糸の撚り止め。綿を紡ぎ、綛上げ後の作業。仕組みを知って、余計な手間や燃費をかけない工夫をしたくて実験してみた

つまり「干すまでが撚り止め」というのが今回の動画です。

でもまあ実際お湯で煮たら干すのが普通なので、「煮て撚り止め」で通じるのですが…。

追記 2022/2/11 ついでに同時にやってしまう人はいるけど…厳密にいうと「精練」は綿の油落とし(綿の場合)。「撚り止め」とは目的が違います。混同されているのをよく見かけますので、念の為。私は手紡ぎ綿の精練は不要と考えています。

緯糸はチャルカで紡ぎ、刀杼に収まるように錘をつくり、撚止めして脱水、そのまま織っている。いつも通り未精練。 先週参加したタリフさんの...

撚り止めの温度・時間

「沸騰まで」「沸騰して何分」といろいろ言われたり書かれたりしていますが、その根拠について述べられていることは少ないです。

私の考えでは、水分が綿の繊維の油分を通過して、全体にしみ込むまでの温度・時間は最低限必要。

ペットボトルは手軽だけど中央の凹みが厄介

それはつまり綿の繊維の質や、糸の太さ・量によって異なるわけです。

長時間やっても特に問題はないかもしれませんが、私はあまり綿の天然の油を落としたくないので、繊維に浸水したのに気づいたら、すぐ火は止めてしまいます。ガス代節約。

(もしかしたら低温の水でも、アルカリ度が高いと油を通過(?)してすぐに水分を吸うかも??)

それと綛をねじってツイストドーナツ状にしたまま撚り止めしている方もいらっしゃいますが、繊維に水分がしみこむ時間が余計にかかります。できれば綛は輪の状態で撚り止めがベストかと。乱れるのが心配なら、きつくせず、軽く綛ごと撚るなどしておくとよいかと思います。

錘のまま撚り止めすることもありますが、あれはそれなりにメリットがあります。綛あげや糸繰はかなりの手間で、それら省略できるため。

少しガス代はかかるし錘の内と外で繊維の状態に差はできるかもしれないけど、それらを天秤にかけて、錘のままの撚り止めを選ぶこともあります。

綿の手紡ぎ糸の撚り止め(よりどめ) 錘(つむ)に紡いだ糸から綛(かせ)にする前に撚り止めする方法。この後、干すまでが撚り止め作業(→より詳細な別動画あり)

乾燥する時の重し

重しをして干せばある程度撚り縮みは伸びるけど、あんまり重すぎると糸のふんわり感が損なわれるかも?

撚りが甘くてあまり捩れないなら重し自体いらないかも。

私は以前は、干す前にグッと引き伸ばしてから、綛の輪を開いて干していました(画像参照)

左)強撚 右)撚り甘め
 

重石は撚りの強さによって変える。どんな糸が欲しいのかによっても。でも基本的には捩れない程度の適度な重さでよいのではないかと思います。

先人の言われたやり方をそのまま踏襲するだけではなく、自分でもなぜそうするのか、なぜそうなるのか考える。一つの方法に固執せず、ケースバイケースで応用するには、その作業の意味を知ることが大事です。

スネイル問題

撚り止めとは関係ないのですが(重しのせいでもない)。

チャルカではまずできないけど、足踏み紡ぎ車だと時々この捩れが残ってしまいます。これができてしまう原因については長くなるので、またそのうち(細めの糸の時だけ。私だけかもしれないし、綿つむぎだけかもしれない…)。

今回のは綛上げ時のたるみが原因ぽい

チャルカでもスピンドルでも撚り加減のバラつきはできるけど、それらに比べて足踏み式の紡ぎ車はどうしても撚り加減にばらつきが出やすいと思います。

まあそれも手紡ぎ故だし、綿だけなのか私だけなのか判りませんが、以前より随分減ったので、あまり気にしてません。

ただ、綛上げの時に伸ばすようにしてても、細い糸だと見逃してしまうことも。

スネイル自体はそこだけ濡らして伸ばしておけば解消できるけど、その結果、綛から飛び出したり弛んだりして扱いやすい綛とは言えません。

糊付けの時も気をつけないと。後々の作業にどんどん影響してしまうので、できるだけ響かないようにしておきたいんですけどねー。

ひびろ糸

手紡ぎ糸の糊付け風景を動画にしました。 使ったのは地機布15の試織用である、少量の細めの糸。 数年前に生葉で染めた...

今回のひびろ糸は地機布13の経糸で、結び方も変えてみました。

今までは単なる綾にしていた中央の部分、ほぼズレませんでした。

手紡ぎの糸だから摩擦のせいかもしれないけど、いつも手紡ぎの糸だし…しばらくこの結び方で様子見。


綛上げ器にカウンターを後付け

私の綛上げ器、カウンターがないので、綛に巻いた後、地道に数えていました。

どこまで数えたか判らなくなるし、眠くなるし…でいつかカウンター付にしたいなぁと思っていたのです。

特にいま紡いでいる細い糸はホント―に大変だし、一本一本数えることで綛が乱れる。

先日の糊付け動画でも綛上げの大事さを再認識したので、やっとカウンターを追加しました。

磁石が一定距離以上接近するとカウント。

ボタン電池風な大きさの磁石を両面テープで固定、検知側も適当な位置にワイヤーなどで固定しました。

そんなこんなで、無事一周ごとに数えてくれるようになりました。

実際の綛上げしている動画をそのうちYouTubeへ投稿予定です。

YouTubeといえば、ブログや動画の情報についてのお話もしています。

ブログの情報だけご覧いただいている方も、通信環境が許すようでしたら、動画の画質を落として、耳だけ傾けていただけるとウレシイです!

【紡ぎ語り】動画やブログでの情報共有について~綿紡ぎ動画にのせて

追記)ちゃんと使えてる~


綿の手紡ぎ糸の糊(のり)付け・ほぐしやすい綛上げ(追記あり)

手紡ぎ糸の糊付け風景を動画にしました。

使ったのは地機布15の試織用である、少量の細めの糸。

数年前に生葉で染めた綿を、紡ぎ車で紡いだ糸です。

【糊付けと綛上げ】綿の手紡ぎ糸を経糸に使用する際の糊付け方法と、糊付け糸をほぐしやすい綛上げの仕方(糸は少量・糊は片栗粉を使用) 誤)脱水層→正)脱水槽

糊付けの糊

現在、糊付けに使われているのは以下のようなものが多いようです。

  • ふのり
  • 洗濯糊
  • 片栗粉・小麦粉など

人伝てですが、ふのり(しょうふのり?)は糊落ちがよいと聞いたことがあります。私にはよくわかりません。。

個人的には、継続して入手しやすいもの、身近なものを選べばよいと思います。たぶん昔の人も、その地で手に入りやすい何かしらのデンプン糊を使っていたのでしょうし。

織りを始めた頃の私は、洗濯糊を買ってきて使ったこともありましたが、数年前から、常に家にある片栗粉で統一して継続することにしました。

デンプンも、小麦粉や馬鈴薯など原材料によって糊化温度や粘度に差があるようで。

独立行政法人農畜産業振興機構は、農畜産業及びその関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定のために価格安定業務,補助事業,情報収集提供事業を実施しています。

記録をとる

繰り返し同じ糊で糊付けするうちに、ベスト・ベターな分量が判ってくる。その為に必ず記録を残して比較・検討することが必要、と考えたわけです。

記録していなかった初期は、とりあえず濃い目にしがちで、綛上げもちゃんとできてなかったから、ほぐす作業がとても大変でした。

今と違ってネットの情報も少なくて。

今回の糊付けの分量は…

  • 綿の手紡ぎ糸(細め・約40番手) 15g
  • 片栗粉 糸の15%で約2.5g
  • 溶く水 糸の倍ccにしたかったけど、諸々の事情で140cc
  • 足し水 糸の倍ccにしてるけど、今回は無し

これまで書物で調べた、あるいは人に教えてもらった糊の量は、それぞれの人や扱う糸によってかなり幅がありました。

現在の私の使用量、方法は、それらと、これまでの私の記録・検討の結果です。片栗粉の分量は、基本的に糸の10~15%の間。糸の細さや繊維の質、状態によって変えています。

といっても、私もまだ5~6件しか記録を残していないのですが(汗)、今の所、これくらいでちょうどよいかなと。

もちろん綿の手紡ぎ糸の場合です。機械紡績の糸の場合は、もっとずっと少なくていいと思います。

工程その他

〇できあがった糊に椿油を落とす記述を時々見かけます。

油で糸の滑りをよくするためかと勝手に解釈していましたが、粘度を増す効果があるとか。

私は精練をしない(綿の繊維の油をむりに落とさない)ので、糸の滑りをよくするための油添加の必要はないと考えていましたが、粘度を高めることができるのなら足してもいいかも。でも忘れちゃうんだよな💦

追記 その後、糊付け時の油添加をやってみました。確かに粘度は上がり、上がり過ぎで何度か濯ぎ直すくらいでした(汗)。これはこれで記録して量の調整が必要になるので、使い続けるか微妙です…。

〇 フタをして放置するのは、浸透を待つ間に表面が乾いてしまわないように。ムラができてしまうので。

〇 絞って綛を開く過程を、今はベランダでしていますが、以前は洗濯機の脱水槽で絞って、ベランダで綛をほぐしていました。

上に吊るした竿にかけてほぐしていたから、腕も首も疲れて疲れて。

この体勢にして、綛上げ方法も変えたので、糊付けはだいぶ楽になりました。

以前通った機織教室では、室内で、機の一部を利用して絞って解していました。もちろん床が濡れないように古タオルを敷く等して。その準備が面倒なので私はベランダ(汗)。

糊が浸透しやすく・乾燥しやすい綛上げ

8月中旬に素手で生葉染めをしてしまい、染まっていた爪もほとんど目立たなくなったので、ようやく綿の簡易糸紡ぎキット向け動画を作り始め...

綛あげの時の巻き方については、以前書いた記事があるので、そちらをどうぞ。

綛上げ器の仕組み(水振り)で糸振りしている動画を、この記事内でリンクをはってあります。

今回も検索してみたけど、手で糸を振ってる綛上げ動画が見つかりませんでした。

染色やってる人でもただ巻くだけの綛あげしてたりして、もったいないなと…。

こうやって巻くのは、ただキレイだからというだけではないんですよー!

ひびろ糸(あみそ糸)

綛に数か所入れる、綛の糸をまとめる糸(紐?)をあみそ糸又はひびろ糸と言います。

糸の始めと終わりを結び付けて、判りやすくしたり、糸が乱れるのを防ぐ役目などがあるようです。

ひびろ糸は、綛を広げた時のことを考えて余裕のある長さ。

これまでは画像や動画の様に束を分ける箇所を8の字にしていましたが、8の字だとズレやすく、余ったひびろ糸が綛に絡んで扱いにくくなることがあるので、同動画でもお話した通り、変更予定。

ひびろ糸がずれて邪魔だと感じることはこれまでもあったけど、深く考えてはいなかった。

撮影して客観的に見ると、明らかにジャマしてる…実際糊付けをしてる時は、その作業に必死で、とにかく早く解して干さなきゃと思っているので、頭の片隅で煩わしく感じていても、作業中にどんどん追いやられて、忘れてしまってたんですね…。

で、今後やってみようという結びがこの画像。ちょっと絡めてるだけで、難しくはないかな。

以前、このひびろ糸の結び方を教えてもらった時は、ああこんな結び方もあるんだなと思っただけで、その結びの何がどういいのかという説明もなく、私自身も深く考えなかった。

だから楽な8の字をずっと続けてしまったけど、ようやく気づけました。

思い出すと、昔々購入した綛の仕付け糸は8の字ではなくこんな感じだった気もする。

これで本番の地機布15の時はよりスムーズにできるかな?

追記・糊落としについてはこちらの記事をどうぞ!

先日、東京渋谷の田中直染料店で、経糸の糊を落とす、ネオプライマーゼという澱粉分解酵素を購入しました。 数年前から、耳にはしていたのですが、こ...

綛(かせ)あげのポイントとその意味

8月中旬に素手で生葉染めをしてしまい、染まっていた爪もほとんど目立たなくなったので、ようやく綿の簡易糸紡ぎキット向け動画を作り始めました。

その中で、綛上げについてどの程度くわしく説明するか、少し悩みました。綛上げは、後々の作業に響く大事な作業だと私は思っています。でも、最初に紡ぐ糸の量はさほど多くないでしょうし、初心者向けですから、あまり詰め込み過ぎてもね…と。

というわけで、説明動画、説明書では簡単内容になっていますので、この記事で補足していきます。

「綛(かせ)」とはなにか

綛とは、一本の糸が、一定の円周で、輪の状態になっているもの。

円周×本数で糸の全長がわかります。織物の必要量の目安を計算するのに便利です。

精練・染色・糊付けの際にも、この状態でやるほうが、紡いだ錘(つむ)や糸玉の状態よりも、扱いやすく、浸透・乾燥しやすいです。

手紡ぎ綿糸の綛(かせ)

糸を紡いだら必ずといっていいほど、紡いだ糸を綛にする「綛あげ」という作業が必要になります(私は錘のまま撚り止めして緯糸に使うこともありますが(汗))。

独学だけでは気づけなかったこと

私自身は糸紡ぎを綿工房さんに習い、その後はほとんど独学。他の様々な作業や「綛上げ」についても、検索して調べたけど、当時は今よりも情報が少なかったです。

そんなわけで綛上げもほぼ我流でしたが、影山工房さんの講座で、綛上げや糸の扱いについて、気づけなかったことをいろいろ教えていただきました。

常々参考にさせて頂いているブログのこちらの講座へ行ってきました。 お話についていけるかという不安もありましたが、知りたかったことを知ること...

その後も、その行為の意味を考えたり、それに合わせて自分で工夫を加えたりしています。綛上げの出来は、その後の作業に影響が大きく、なかなか奥が深いです。

綛を保管しやすいようにねじった状態

で、キット用は、綛上げについては最低限の情報にして、より深く紡ぎにハマった人には検索してもらおうかと思って、一応検索してみたら…今でもあんまり情報が見つかりませんでした。

数は増えてる気がするけど、…うーん、それほど詳しくはない。まあ無料で公開されている情報だからそんなものなんでしょうかね。

綛あげのポイント3点

  • 糸の巻き方 … 振る。平行に重ならないように
  • あみそ糸またはひびろ糸 … 緩めに
  • 裏表(内外)を意識する

検索でほとんど出てこないのは巻き方。あみそ糸またはひびろ糸については検索するとある程度情報が出てきます。裏表については、これも…ほとんど出てきませんな(汗)。

でも、こちらの記事の画像は、巻き方、振り方の参考になりそうです。動画はこちらとか。

糸同士の接点が小さくなるよう、糸同士の摩擦が少なくなるように巻きます。

平行にせず、斜めに。大まかに言うとそんな感じ。この画像の場合、左右に振る。

前述の記事や動画のように、そういう巻き方ができる道具がありますが、私は持っていないので、手動綾振り。

当然道具であげた綛のようにキレイに揃ったダイヤにはできません(汗)

ただ、多少でも、糸同士の接する部分が面・線ではなく点であるほうが、染色や糊づけ、乾燥の際にも、ムラが少なくでき、効率もよいのは確かでしょう。

摩擦し合う部分は小さいほうがいい

手紡ぎの糸の綛あげはこの巻き方が断然おススメ!

手紡ぎの糸は摩擦で毛羽立ちやすいので、この巻き方にするのは手紡ぎの糸に優しい方法だと思います。

前述の講座受講より以前は、特に何も考えず、ただグルグル巻くだけの綛を作っていました。

染色の際などに揉まれたためか、糸同士の繊維が絡み合うこともありました。

が、この方法にして、干す際も、糊付けの際にも、はるかに糸をさばきやすいく、乾きやすくなりました。

糸を繰る、別の管などに巻きなおす作業などの際も、糸を引き出しやすく絡みにくいです。

以上、綛あげのポイントのほんの一部ですが、今されている綛あげに満足できていない方の試行錯誤の一助になれば幸いです。

…でもまだまだ、私も気づけていないことがあるかもしれません。また何か改善点などが見つかったら更新していきます。

追記)糊付け(+綛上げ)動画を作成した際に、綛上げについても言及、ひびろ糸の結び方について更新しています。

右の記事をどうぞ!

手紡ぎ糸の糊付け風景を動画にしました。 使ったのは地機布15の試織用である、少量の細めの糸。 数年前に生葉で染めた...

追記) 2024.3月、あらたに綛上げメインの動画を投稿しました。

記事も、動画と道具について少し詳しく書いてみましたので、そちらもぜひご覧いただいて、感想などお聞かせいただければ幸いです。

目次綛あげに必要な道具綛あげ器と綛くり器…?綛くり器…主に、綛→糸玉・糸枠・管綛あげ器…主に、糸玉あるいはツムなどに巻かれた糸→綛綛あげ器...

キットの動画はあと半分ぐらい。できるだけ判りやすくと、なんだかんだ詰め込んでいたら、30分くらいの動画になりそうです。見るのは30分でも作るのは結構な時間がかかります(汗)。当然ですが。

販売は動画とキットのセット予定。動画無しのオプションを作るかもしれませんが、説明書も改訂予定なので、どちらにしろ今より値上げすると思います。

今の価格で、今の内容でご購入希望の方は、Creema または STORES でお早めにどうぞ。