緑綿一覧

綿とタネを分ける方法で、繊維が変わる…綿繰り器の利点のような欠点のようなこと

綿繰り器といえば、綿のタネ採りが楽になる、早くできる、キレイに繊維とタネに分けられるというとっても便利な道具です。

でも、この「キレイにとれる」ということが、あまりよろしくない場合もあります。

繊維を全部丸ごと根こそぎ…

この画像は綿繰り器でタネとりしたタナ綿の繊維(タナ綿についてはこちら)。画像はクリックで拡大します。

長めの繊維の中に、短い繊維がかたまって混ざっているのがわかりますか。

色の少し違う繊維が混ざってたり。タネから滲み出た油のせいか、タネの破片?のせいかも。

目視で気づいた、短い繊維のところを集めて撮影しています。

綿のタネについている繊維の長さの差

こんなふうに、優秀な綿繰り器が、短い繊維まで丸ごと外してくれちゃうのですね。
こっちは緑綿です。光の加減で分かりにくいかなと思って2枚並べました。

緑が濃く見える部分が、タネの周りの産毛に近い短い繊維。

緑が濃いのが気に入って、気にせず混ぜて紡いでいますが、一部、混ぜきらずにかたまっていたりすると、糸にしたとき、飛び出てたり、その繊維が落ちやすかったり。

それでも太い糸を紡ぐときは、あまり問題にはならないかと思います。ただ、細い細い糸を紡ぐ時は、これをできるかぎり、取り除きます。

この繊維は短いうえに、あまり天然の撚りも強くないような気がします。だからこんな風に色が濃く見えるのかも、と(光の反射が少なくて)。

手でタネをとることのメリットといえるか?

3枚目は緑綿の実を手で、タネと繊維に分けた画像。

手でタネをとる方法は、こちらの記事動画を参考に。

わたしのおススメしている方法でタネをとれば、長い方の繊維から徐々に外していくことになるので、ある程度、長さで選別ができます。画像のように。

現実的には、大量の綿があれば綿繰り器を使わざるを得ません。

綿繰り器を通過したあと、気づけば取り除けますが、気づけないことも多いです。もし短い繊維を混ぜたくなければ、その後のカード掛けや、紡いでいる最中に気づくしかありません。

ローラーを通過すると繊維がつぶれるが…

ローラーを通過した後の繊維は、繊維の中空も、天然の撚りも、一旦つぶれてしまっているのではないかとどこかで読んだ覚えがあります。

ただ、これはある程度空気に触れていくうちに戻っていくと思われます。和綿のように撚りが強ければなおさら。ローラーを通さず、手でタネをとるのなら、この心配も必要ないでしょうね。

ビニールに圧縮して長いこと保存されていたりすると、戻りにくくなることはあるかもしれません。

ギュッと押し込まれたビニールから出して直後や、綿繰り器を通った直後の綿は、あまりカーディングに向いていません。ふんわりとよく解された綿のほうが、いろんな作業で扱いやすいものです。

 

 

追記4.11 少し違った観点から検証された記事を見つけました。こちら。たいへん興味深いです!>

綿繰り器についてはこちらの記事もぜひご覧ください。

綿繰りの疲れにくい使用方法についての動画を投稿しました→こちら。 youtube投稿を始めた頃から撮りたかった動画の一つで、...

緑綿の黒いつぶつぶ

先日書いた、「和綿のつぶつぶ」という記事に関連して、
今度は緑綿のつぶつぶの話。

といってもこれは違うもの?


和綿のつぶつぶはタネのなりそこないのようでしたが、緑綿に混ざってる黒いつぶつぶ、小さな長細いモノは、タネの一部・破片ではないかと思います。

タネの尖った先に黒いとげのようなものがついていて、ちょっといじるとポロっと折れる、というか、落ちるのです。

この黒いモノは綿繰りをした後に見つかることが多く、実綿の状態の時にはあまり見た覚えがありません。

一方で、和綿のつぶつぶは実綿の状態のときから混ざっているのを見かけます。

和綿のタネにも、2枚目の画像のように、やはり先っちょに黒っぽい部分があります。

でも軽く触ってぽろっと外れる気配はありません。少し力を入れて折れるような感じ。

タネのなりそこないにもついている

1枚目の画像の下側にうつっているのが緑綿のタネのなりそこないですが、これにも黒いとげがついています。画像はクリックで拡大するので、大きくして見てみてくださいね。

緑綿の黒いとげ風のものには、和綿のつぶつぶにあったような産毛もついてないし、やはり違うモノといえそうです。

ちなみに和綿以外の茶綿・赤茶棉でも、この黒いとげみたいな破片は見つかります。また、これが折れてしまっても発芽に影響はありません。


2月の畑

ひと月以上ぶりの畑。綿の実が開いて、繊維が吹いているけど、タネも繊維も未熟なのが混ざっているので、この時期の収穫物は全部自分用。

それにひと月の間に雨も当たっているだろうし、綿も埃で汚れてる。一見汚れているように見えないけど、触ると手触りでわかる。秋の収穫期に1週間ごと触る綿の繊維とは違う。

1枚目の画像は緑綿だけど、白。収穫後期の実のせいか、ひと月の間お日様に当たっていたせいか。でも、元々実が開く前から白色のようで、緑が褪せたクリーム色ではない感じ。

落ちた綿は、キレイそうなのだけ拾って、他はそのまま畑に還す。畝の位置にあると、春発芽した時に、選抜して播いたタネのものと混在してしまう心配があるので、畔に置くか、深く深く埋めてしまう。

でもオノレバエは発芽時期が一般論とずれることが多い気がする。落ちた実が畝で発芽してくるのは一般的な播種適期といわれる時期より早いか遅いような。ヒトが考える播種適期とは…と考えてしまう。

この日の畑作業は暑いくらいだった。春の花も咲いて、テントウムシも少し動き出している(私がいたから?)。雑草も残渣も、虫の冬越しに役立っているようだと思うとやっぱり嬉しい。私は余計な事をしないだけなんだけどね。


綿繰りの前に

カテゴリ<栽培方法>のなかの、
綿の育て方2~開花以降という記事内、
<開絮(かいじょ)>の項目の後、
「綿繰り」の記事の前、辺りのお話。

まず畑で、大まかに翌年播種用として可・不可に分けて収穫。実や木の状態で判断。

未熟なまま開いた実や歪な実は、使えそうな繊維があれば、播種不可分として収穫(2枚目の画像みたいな)、それ以外はそのまま畑に残し、土に還す。

そして綿繰り前にもう一度、翌年播種用として可と分類したものを選別。

特に緑綿は個体差が大きいのであらためて比較。屋外で見た印象と室内での印象も違うことも多い。

より色の濃い実、色の薄い部分の少ない実、暗めの色、明るめの色、繊維の量、長さなど、糸を紡ぐヒトに都合の良いように、私の独断と偏見も加えて選抜。

他の実とも比較しつつ、自分の翌年播種用と、販売用を選ぶ。

で、更に緑綿の場合は、繊維として、緑綿として販売できるような色のもの、白っぽい、薄い色、それ以外の色などに分けていく。こんなことやってるから、手間と時間ばかりかかって、綿繰りが終わらないのだー。


緑綿の赤木緑木

必ずしも同じものが同じようにできるわけではないのが植物。

緑綿の畝に、赤い花でない花が咲いているのに気づいたのは7、8年前。

茶綿でも混ざってしまったのかなと思ったが、開いた実は緑。茶でもカーキでもなかった。

(左)緑木白花の緑 (右)赤木赤花の緑

それからは印をつけ、分けて収穫して、畝を分けて栽培を続けてきた。
花の色以外にも違いがある。

赤花の方は繊維のコシは弱く、艶がある。ただし色も艶もコシも、個体差があって様々な実が収穫できる。こちらの記事の様々なトーンの緑の実は全て赤花。

(左)緑木白花の緑 (右)赤木赤花の緑

クリーム色の花の方は赤い花になる実より繊維の特性のばらつきが少なめで、ほぼ同様。

画像は全て左が緑木・白花、右が赤木・赤花。

緑木の双葉や幹の写った画像がみつからなくて残念。茶綿の双葉と同様で、その後の木の姿もよく似ている。

(左)緑木白花の緑 (右)赤木赤花の緑

ちなみに「赤花」「白花」とか、紫蘇綿の記事でも使った「赤木」「緑木」は、私が勝手に区別のために使っている(作った?)言葉。鴨川農園の『わたわたコットン』の中でも見た覚えがあるけど、一般的な言葉なのかどうかは知りません(汗)。

木の幹、枝、花のガクなどの赤味具合もバラつきがあるが、花は明らかに違う。でも開花後の花はやはり赤味を帯びてしぼむので、しぼんだ花だけを見ていると気づきにくいかも。

(左)緑木白花の緑 (右)赤木赤花の緑

 

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実も赤と緑。成長速度は一緒なようで、ただほんの少しだけ、緑木のほうが早い気がする。気がする、程度としか言えないけど、今年は開花は赤花の方が早かったのに実が開いたのは緑木の方が早かった。

木の成長もそう感じることが何度かあった。でも和綿との違い程はっきりはしていないし、たまたま環境の差、個体差かもしれない。

分けて栽培してきたが、数本、播いたはずのものと違う木になることもあった。赤木の畝に赤木のタネを播いたはずが、緑木が育って白い花が咲いたり、逆のことも。そういうのは印をつけてタネ用から除外してきて、今は赤木の畝から緑木、白い花が現れることはない。

今年、緑木の畝からは2本(約60本中)、赤い花が咲く木があった。最初の頃は1/10くらい混ざっていた。この特性は固定されてきているといえるのかな。とりあえず、緑木・白花は環境要因ではなく、遺伝的なもの、突然変異か何かで出現してきたのだとはいえそうだ。

販売用はすべて赤木・赤花の方を使っています。緑木から収穫された実をご希望の方は購入時にお伝えください。上記ご理解の上でm(_ _)m