実験一覧

2023年産綿のタネの発芽試験

販売予定のタネの発芽試験の様子を動画で投稿しました。

今年あらためて遺伝子組換えワタ検査も受けたので、その内容についても、別記事で投稿予定です。

綿のタネの発芽試験(2021&2023年産)と遺伝子組換えワタ検査の結果

今回の発芽試験方法

試験方法は前回同様ペーパーで包んで浸水保温、更に今年は加温してみた。

前回は4月だったので室温でビニル保温だけでも20℃前後を保てたけど、2月はそれだけだと、特に夜は10℃前後の時間帯も多くなってしまいそうで。

試験日数は短くしたかったので25℃前後を目指して、実際28℃くらいにできた。

家電の上にトイペの芯で空間を作って

2023年産綿の発芽試験結果

  • 全体的に70~80%くらい
  • 和綿茶と和綿シソが若干発芽率低め
  • 緑は定説通り古いタネの方が発芽率が落ちる
  • 和綿茶は2021年産の方が2023年産より発芽率がよい
思い付きで始めた実験、意外な、面白い結果になりました。 何度かに分けていますが、実験の方法は同じ。キッチンペーパ...
昨年の記事

注目した点と次回に向けて

前回も2020年産を面白半分で試験したら、発芽率が高かった。それを今年また試験してみたら違いがみられたんだけど、残してなかった💦残念。

今回のこの2021年産のタネはまだ50粒以上あるので、今年こそは来年の試験用に保管しておく!更に1年経過、今回の結果と比較してどうなるか??

来年も同じように実験できればいいけど…

2023年産綿のタネはSTORESにて販売中

とはいえ、実綿の方がお得だし、どんな実がなるか分かったうえで栽培が出来て、繊維の利用もできて、なにしろいろいろ楽しめておススメです^^

説明文などはよく読んでご理解ご納得の上、ご検討くださいませ!

不明点や判りにくい点等ありましたら、ご購入前にお問合せ下さると助かりますm(_ _)m

また、綿のタネ販売期間限定ですが、今年も1500円以上ご購入の方に選べるおまけ付です。種蒔きまではまだまだありますので、ゆっくりご検討ください^^


ベランダと実験用畑の綿

残暑の続いた9月の綿畑の様子を動画にまとめました。

前回動画までの渇水・猛暑からの不作予想に反して、綿の実はそれなりに開いています。

ただ虫やケモノの影響は例年より多い気がします、という内容です。

【綿栽培】9月の自然農綿畑 綿の実の開絮のようす/綿の実を喰う虫/綿の木を倒すケモノ?

一方で今年のベランダ、発芽実験に使った苗が3株残っていますが、ようやく9月に入って開花が増え、調子が出てきた感じ💦

まあ開花しても落ちるものもあって、現在残っているのは20個ほど。

7月下旬に開花した2つは開絮済

今年は深さ15cm程度のプランター。高さ30cmくらいになったところで摘芯、今現在は高さ150cmを越えて、少し傾き気味。

摘芯した位置で2本に分かれ、その先でそれぞれ2本に分かれたので、主な枝は4本。

でもこれから咲きそうな蕾はもうなさそう。

Cotton in planters on veranda has about 20 cotton bolls 20231002 ベランダ和綿 今現在約20個 発芽実験に使った和綿の茶

実験用畑は順調に見えていたけど、収穫量は期待外れ💦まるで昨年の綿畑のよう。

開く実の数も少ないし、充実した実も少ないし、木は大きく育っていたけど…ツルボケ?

Thinning out buds 20230804 摘蕾 一枝に多すぎる蕾を間引く

まあ、こちらの畑は翌年1月に返却予定の為、早くから剪定したり蕾を落としたりしているので、収穫量が思ったより少ないのはそのせいもあるかも??

今年は実験用畑で交配実験を試みています。前回の記事の、開花から開絮までの積算温度調査は、こっちの実験の副産物のようなもの。

ただ、毎日は畑に行けないので、開花タイミングの合う数も少ないし、けっこう実も落ちてしまって…。

左)実の外側 右)実の内側

まあ時間がかかるのは承知の上。気長に、来年も挑戦予定。


綿の浸水発芽実験の動画の続き

浸水発芽試験は今回の動画で終わりです。

当然ですが、私のタネで、私のやり方で、私の地域の気候・環境でやった結果ですので、別の履歴のタネ・環境・条件では違う結果になるかも。

別の地域の、別のタネのデータがあるとまた違う傾向がみえてくるかもしれません。

【綿栽培】綿の発根発芽試験(2)浸水タネと無浸水タネの比較/2020~2022年産の浸水タネの植付け後の様子/綿のタネのまき方/畑のさまざまな菜の花【音声あり】

ウチのタネも試験したのはこれまで数える程なので、「こうである」と言い切るにはデータが足りないかなぁと思います。

ただ、言い切ることはできないけど、傾向がある…のかな?と考えられた事柄がいくつかあったので記録しておきます。

浸水・無浸水タネの紙ポット播種比較

浸水タネと無浸水タネの発芽日数の差

浸水すると播種から発芽までの日数は短縮すると予想していましたが、今回の実験ではほとんど差はありませんでした。

どちらも4/6播種で、土から芽を出したのはどちらも4/16。たしかに浸水タネの方が先でしたが、半日程度の差。

浸水タネの浸水は約2日間行っていますし、一部発根したタネもあったので、吸水はそれなりにしていたはず。。

4/18 無浸水・浸水タネ

なので、水分よりも気温の方が、発芽日数への影響は大きいのではないかと。

もちろん、土の状態にもよるのでしょうけど、今回の実験では同じ条件でした。

気温が充分でないうちに直播すると発芽までの日数がかかる、これは、これまでの経験から確か。

4/19 無浸水・浸水タネ

芽が出たとしても、気温が充分でなければ、成長は遅め。それなりの大きさになるまでの間に虫に喰われたり寒さに負けたりする可能性もありますが、生き残れれば、少し収量は増えるかもしれません。

逆に気温が高くなるまで待ってから直播すれば、発芽までの日数は短いですが、その分、大きくなるのも遅れて収量も少ない可能性が高い。

4/20 無浸水・浸水タネ

この中間の、ちょうどよいタイミングに種まきができればいいのですが💦 未来の天気は不確かですし…そして結局、どちらにしても、個別のタネの能力にも左右されるようです(旧年のタネの結果から)。

タネ殻をかぶったままの発芽

土の中では湿って柔らかくなっていたであろうタネ殻が、地上に出ると乾いてかたくなってしまうのではないか? 

早く双葉を開いて根を伸ばすエネルギーを送らないと、そうして寒さや虫に耐えられる力を早くつけるためにも、地上に殻をつけて出てくるのはあまりよろしくない気がします。

4/22 タネ殻をつけたまま地上へ

無浸水より浸水したタネほうが、本当にタネ殻をつけて地上に出てきやすいのか、これはまた機会を見つけて実験してみたいと思います。

今回の紙ポットはどちらもかなり押し込んだつもりでしたが、もしかしたら差があったのかもしれません。

タネ殻つき発芽について、以前にも気になった際の記事がありました。あまり詳しく書いてないけど💦

先日の浸水発芽のあと、発根して土に埋めたものは、双葉まで開いたのを確認できたのは8つでした。発芽後、1つ枯れ、今は7つ成長中。土から顔を出す...

今回の実験のふりかえり

綿の発芽には、浸水するかどうかより、発芽適温になっていることの方が大事なのではないかと思います。

ただ、これを明らかにするには、気温を変えて比較する必要があり。

浸水・無浸水含めた総集計

今回の実験でも、浸水・無浸水タネを土に埋めた後に、ベランダに出した外気温10℃前後環境のモノとは別に、室温20℃前後のモノで分けておけば、気温と水分のどちらの影響が大きいかが判ったかも??

まぁでも実際これまでの畑では、早播きすると発芽日数10日~3週間だったりするけど、5月下旬の追い播きでは1週間前後で発芽するので、気温が大事なのは確かなんですけどね。

古いタネについては、発芽率が落ちるという仮定のもとで実験したのですが…、綿のタネの発芽は気温と水分も大事だけど、そもそも一番大事なのはタネの質なんじゃないかというわけで…

発芽に必要なモノ

  • 気温(20℃前後)
  • 水分(浸水は必須ではない)
  • 元気なタネ

…当り前なことの確認ですが💦

実験に使った紙ポット苗・とぐろを巻いた根

ちなみに実験の紙ポットに目印として挿していたテープは土に還ると謳われて販売されているモノ。

今年はこれを使ってあることに挑戦するつもり。


綿の浸水発芽実験の動画

思い付きで始めた実験、意外な、面白い結果になりました。

何度かに分けていますが、実験の方法は同じ。キッチンペーパーで挟み込んで水で湿らせて放置。室温は20度以上。2日弱で早いものは発根をはじめ、3~4日で出揃う感じでした。

綿の発根発芽試験(1)2020~2022年産の綿のタネを浸水させて発根するまでの様子。予想外な結果💦

動画内のすべての結果を集計したのが、次の表。途中土に埋めた分は含まず。

サンプル数が少ないので、あまりアテにならないデータですが…。

実際の発芽率試験は1品種100以上使うらしい

それと、動画をご覧いただいた方は気づかれたかもしれません。はじめの3種セットから土に移した際に、未発根を優先的に土に埋めたため、結果的に残した10粒の中の発根済の割合が高くなりました。そのこともデータを不正確にしてしまっています。

まあでも、今回の実験の注目点は2020年産のタネの発芽率の意外な高さかと💦

「2021年販売用」=2020年産

収穫高だけをみると、2020年は特に良くも悪くもなかったようなのですが。

植物的には、強いタネを、発芽率の低下しにくいタネを残しやすい条件が、なにかしら揃っていたのでしょうかね…

Table of Contents施肥・無施肥畝での比較ベランダ鉢綿と実験用畑との比較2023年とこれまでとこれから販売用の棉・綿...

結局理由は判りませんが、ただ、来年もまた旧年収穫のタネを残して実験してみようと思います。忘れなければ。

問題は、こういう実験をすると、捨てがたい発根発芽苗が大量にできてしまうこと💦

まあ結局畑に持って行って土に還すのだから、まったく無駄にはならないと思うのですが…。

Green cotton germinated & twin leaves were nibbled off 20230413 3/24播種の緑綿4/13発芽確認…かじられてる?
畑に浸水無し直播きした緑綿

緑綿のアルカリ浸水実験の結果から

「緑綿の色」動画の中の字幕の間違いを発見しました。下の画像が正解。大変失礼いたしました!(動画は後から修正ができなくてモヤモヤ)

動画のなかで使用した糸は4種類。

  1. 2019年産暗所保管の綿でカードをせずに紡いだ糸
  2. 2019年産暗所保管の綿でカードをかけて紡いだ糸
  3. 2020年産明所乾燥の綿でカードをせずに紡いだ糸
  4. 2020年産明所乾燥の綿でカードをかけて紡いだ糸

実験は3種類で比較対象がAです。

  1. 撚り止めのみ
  2. 酸→アルカリ
  3. アルカリ
  4. アルカリで煮る

まず、赤枠の中で比較してみると、大きな差はないように見えます。

2019年産暗所保管の撚り止めのみの糸と、赤枠内の他の糸では若干、濃くなったように見えますが、若干です。

数値などで表せればよいですが、残念ながらそうした機械などはありませんので、目視、しかも私個人の独断と偏見であることはご了承を(できたらご自身で実験してお確かめください)。

画像は全てクリックで拡大可能

2020年産・明所保管の綿はクリーム色に見えますが、アルカリ処理をすると、2019年産暗所保管の糸と同じような濃さの緑になりました。

このあたりは、大体これまでの経験どおりの結果。

私が今回一番注目したのは「アルカリで煮る」ことをした糸です。

左・アルカリ浸水カード済
中・アルカリ煮カード済
右・アルカリ煮未カード

実物の色はアルカリ煮の方が濃いけど、これもさほどの差ではありません。そのせいか画像では判りにくい(汗)

でも何となく区別はつくんですよ。タグを見なくても。色というより艶が少なくなって、そのために、光の反射が減り、トーンが違うような、ベタっとしたような色に見えるんですよね…。

濃く見えるのは、そのためかも?

ここまでが実験結果の糸の観察。以下は推測・憶測・当てずっぽうの話。

アルカリ浸水とアルカリで煮ることの違い

アルカリ浸水は以前もやっていましたが、今回初めて「煮る」実験をしました。これまでは緑の色を変える時、低温の水でアルカリ溶液を作って浸水させるだけでした。

アルカリで煮る=精練 →繊維についた油・ワックスを落とすということ

綿の繊維はもともと油分を含んでいるとか、ワックスでコーティングされているとか言われています。何もしない状態の綿の繊維は水を弾くことからも、それは確かです。

撚り止め(中性水で煮る)でも、多少の油は落ちますが、私の様に煮る時間が短ければ、油分はかなり残るようです(次に水に浸す時でも吸いにくいので)。そこから、

アルカリで煮たことで油分が減り→油による光沢が減り→色がハッキリした

色を覆っていたビニールやガラスみたいなもの(油)が無くなったような感じ?? だから透明感のある緑ではなく、ベタっとした緑に見えるのか??と思ったのですが…。

今回の動画を作るにあたって、いろいろ調べていたら、Sally Foxさんのホームページインスタグラムを見つけました。SallyFoxさんというのは、緑綿や茶綿などの色綿を、交配させたりすることで、長さや強さを機械紡績に耐えられるようにしてこられた方です。

その方のホームページにこんなページがありました。

color development information

「The green color is composed of waxes classified as suberins. They are laid between each of the 20-35 layers of cellulose within the cotton fiber.」

(DeepL翻訳) 緑色の部分はスベリンと呼ばれるワックスです。綿繊維の中の20~35層のセルロースの間に敷き詰められている。

つまり、綿の繊維の、セルロース層の間にあるワックスが、緑の色の元である、ということであってますかね(汗)。

ということは、アルカリ溶液で高温で煮ることで、セルロース層がはがれ、下層の緑の濃い層が現れた、とか?

ただ、この仮説だと、低温のアルカリ溶液で、あらたな緑の層が現れる理由は説明がつかない。セルロースは水に不溶らしいし。ということは、やはり色の元自体が変容するのか?

糸を浸水させた後のアルカリ溶液が色づいていることからも、何かしら溶け出ているものはありそうなのですが…。

なぜ緑色が濃くなるのかは判らないままだけど

今回の緑綿の実験に関連して判明していることを再度まとめると…

  • アルカリ水に浸すと緑が濃くなる
  • 酸性水に浸すとクリーム色になる
    • 色を変えたくなければ中性洗剤で洗濯する(経年変化によるクリーム色への変化は避けられない)
  • 酸性水に浸してクリーム色になったものを、アルカリ水に浸すと緑が濃くなる
    • 経年でクリーム色になったものも、アルカリ水で緑が濃くなる(限界はある)
  • アルカリ溶液で煮ると緑が濃くなる(茶綿も茶が濃くなったことがある→こちら)
  • アルカリ溶液で煮ると油コーティングが落ちる
  • アルカリ溶液で煮ると油による光沢が減る?油による防護がなくなる?(ここは推測)

10年経った緑綿のマフラーも参考まで…

動画でもご紹介した、収穫・製作から10年経った緑綿のマフラーですが、もうこの色で打ち止めな感じです。アルカリ浸水しても変わりません(煮たことはないけど…)。

10年間、それなりに着用や洗濯をしてきたので、色も肌触りも変わりました。市販のものと同じです。

緑綿独特の柔らかさは無くなってるし、とても未熟な織りで恥ずかしいけど(汗)。この変色した抹茶のような枯草のような色も好きで、今も畑に巻いていきます。

敷いているのは10年以上前に収穫・作成したマフラー
糸は実験に使った 上/アルカリ煮・下/撚り止めのみ